共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
船舶レーダによる海洋表層ダイナミクスの観測及び境界層パラメタリゼーションを陽に含んだ極端現象の再現性の検討 |
新規・継続の別 | 新規 |
研究代表者/所属 | 北海道大学大学院工学研究院 |
研究代表者/職名 | 准教授 |
研究代表者/氏名 | 山田朋人 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
川島 正行 | 北大低温研 | 助教授 |
2 |
山田朋人 | 北海道大学大学院工学研究院 | 准教授 |
3 |
藤吉康志 | 北海道大学 | 名誉教授 |
4 |
渡部靖憲 | 北海道大学大学院工学研究院 | 准教授 |
5 |
猿渡亜由未 | 北海道大学大学院工学研究院 | 助教授 |
6 |
岡地寛季 | 北海道大学大学院工学院 | 博士後期課程 |
研究目的 | 台風や線状降水帯等の極端気象イベント下の大気境界層流れを観測で捉えることは,暴風雨下の乱流構造を解明するために不可欠である.またそれに基づく境界層パラメタリゼーションの開発は,極端現象発達過程の理解を深め,極端現象予測の精度向上に大きく貢献する. 本研究の目的は,沿岸部の極端気象イベントを対象に,気象・海象観測をベースとしたモデルパラメータの修正を経て,気象モデルによる極端現象イベントの再現性の向上を図ることである.さらに,暴風雨下での大気境界層流れの観測手法や海面砕破飛沫の新たな観測手法の確立を目的としている. |
研究内容・成果 | 本研究では和歌山県田辺湾沿岸の設置した鉛直方向と水平方向回転する二台の船舶レーダ(以下,Xバンド)を用いて,大気境界層の状況と海面の波高の状況を観測した.図1に観測地点とXバンドの設置状況を示す.地図上の星印がレーダの設置位置であり,そこか北西方向にレーダを射出している.同手法は降雨観測や海表面の波の観測で使用されている(藤吉,2013).観測期間は2018年8月から11月で,この期間に観測地域を台風20号,21号,24号が通過した.観測場所から約4 km離れた南紀白浜アメダス観測所の記録では,台風20号が観測塔付近を通過した8月23日20時に前10分平均風速で29.0 m/sの南東風を記録した.台風21号は9月4日11時に33.3 m/sの南東風をもたらした.台風24号は9月30日18時に27.9 m/sの南東風を記録した.図2に台風21号が通過した時の風速と風向,降雨強度の時系列を示す.次に三つの台風事例の中で最大風速を記録した台風21号の観測結果を示す.時系列には南紀白浜アメダス観測所の10分平均の降雨強度と10分平均の風速,風向を示す.時系列から強風時の9月4日0時から12時の間は南あるいは南東方向の風が吹いており,Xバンドのレーダ射出方向と一致していることがわかる.その時間の中で風速が最も強い11時のレーダ観測結果を図3に示す.図のコンターは1 mWを基準にして対数表示にした反射強度[dBm]を表す.フリスの伝達公式から得られる.図(a), (b)は二つの異なる時刻に観測されたスナップショットで,時刻の差はおおよそ10秒程度である.図の左端にレーダ設置位置と観測等の位置を矢印で示す.レーダの観測範囲は水平軸方向(南東から北西)に2.8 km程度,鉛直方向に2.8 km程度である.(a)と(b)を比較すると雨あるいは海面由来の砕波飛沫の塊が図の左から右へ移動する様子を捉えている. 観測期間中の三つの台風を捉えており,観測結果には雨滴のみではなく砕波飛沫を含んでいる可能性がある.そこで今後はこの観測結果から砕波飛沫の観測可能性についての検討を進めていく. |
成果となる論文・学会発表等 | 岡地寛季,山田朋人,藤吉康志,馬場康之,久保輝広,2018:暴風時における船舶レーダを用いた大気境界層の観測,平成30年度土木学会北海道支部論文報告集,B-15. |