共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

民生用重量計を利用した積雪重量自動計測システムの改良
新規・継続の別 継続(平成28年度から)
研究代表者/所属 東京都立産業技術高等専門学校
研究代表者/職名 准教授
研究代表者/氏名 高崎和之

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

若林良二 東京都立産業技術高等専門学校 教授

2

的場澄人 北大低温研

3

三寺史夫 北大低温研

4

高塚徹 北大低温研

研究目的  本研究の目的は、平成29年度共同研究で開発した民生用重量計を用いた積雪重量自動計測システムの信頼性向上に向けた装置の改良である。積雪重量計による観測は、水循環や雪質等の検討において重要であり、多くの研究で実施されているが、費用面から広大なエリアを詳細に観測することは難しいとされており、平成29年度より民生用重量計を利用した自動計測システムの開発に着手した。しかし、重量センサ部とデータ収集装置を接続するケーブルが野生生物によって切断される等のトラブルが発生したため、今年度はセンサ部にバッテリと記憶装置を内蔵した装置の開発を目指した。
図1 温度の観測結果(2019年2月) 図2 重量の観測結果(2019年2月) 
研究内容・成果  9月と12月にミーティングを実施、1月からフィールド実験を開始し現在も継続中である。当初計画していた6月のミーティングはメールベースで調整を行った。9月に発生した震災の影響により、低温室を使用する一部の実験(極低温環境下における印字試験及び長時間経過後の印字品質の確認)が実施できなかった。
前年度開発した積雪重量計に不揮発性半導体メモリ(SDカード)とバッテリを内蔵させ、信頼性の向上を図るとともに計測項目に温度を加える改良を行い、動作実験を実施した。実験の過程において、半導体メモリは周囲温度や駆動電圧の影響を受けやすく暴走した場合に全データが破壊されことがあった。そこで、メモリが誤動作した際の対策としてサーマルプリンタによる印字出力も付加する改良を行い信頼性の向上を図った。
前年度の観測において、2月末頃から大きな日変動が観測された原因を調査するため、今年度は観測項目に温度を追加し、地面と荷重センサ表面の2ヶ所の温度を観測した(使用したセンサの精度:±0.5℃)。その結果を図1および2に示す。図1および図2は2019年2月の北海道大学圃場における観測結果であるが、図1に示す温度変化はセンサ表面、地面ともに0.5℃程度の範囲で安定していることが分かる。一方で図2に示す荷重センサの出力に着目すると、10日から15日のように、重量とセンサ表面の温度に相関がみられる場合と、20日から24日のようにセンサ表面の温度が一定のときにも重量の変化が見られる場合があることが分かる。
前者は、センサ表面の温度が氷点よりも低い状態であることから、積雪の最下層が凍結している状態であり、その体積は温度に比例していると考えられる。従って、気温等の影響によって温度が変化すると、重量計の周囲にある積雪の密度が変化し粘性によって荷重センサに加わる荷重が変化したものと考えられる。後者は、センサ表面の温度が融点程度であることから、融雪水が積雪中に保持されている状態であると考えられる。従って、積雪の粘性も変化していると考えられ、また地面への融雪水の流れをセンサや再凍結によって生じた高密度層が阻害することによって、融雪水が増加する日中に重量が増加したものと思われる。
図1 温度の観測結果(2019年2月) 図2 重量の観測結果(2019年2月) 
成果となる論文・学会発表等