共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
原子間力顕微鏡による氷表面の原子分子の拡散の研究 |
新規・継続の別 | 新規 |
研究代表者/所属 | 東大新領域 |
研究代表者/職名 | 准教授 |
研究代表者/氏名 | 杉本宜昭 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
日高宏 | 北大低温研 | |
2 |
香内晃 | 北大低温研 |
研究目的 | 宇宙空間で、原子から分子、さらにより複雑な分子が形成されていく過程を分子進化という。分子雲では星間塵表面で起こる化学反応の重要性が指摘されている。星間塵は、アモルファス状態の氷が覆っていると考えられており、その氷表面で起こる化学反応を理解することが重要である。分子雲内部では低温になっているので、活性化障壁が大きい反応はほとんど起こらないと考えられ、触媒効果の重要性が指摘されている。しかし、氷表面への原子・分子の吸着、表面拡散、化学反応に関して、基礎的な実験データがほとんど得られていないというのが現状である。そこで、本研究では、氷表面で起こる分子進化の素過程を理解することを目的とする。 |
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研究内容・成果 | 研究には、超高真空で動作する非接触原子間力顕微鏡(AFM)を使った。この顕微鏡は鋭い探針を試料表面に近づけ、探針先端の1つの原子と表面の個々の原子との間に働く力を検出して像をとる。絶縁体を観察することでき、氷表面での様々な原子・分子の吸着、拡散、反応の様子を実空間で観察できる唯一の方法である。 Pt基板に低温でH2Oを曝露した後に昇温して結晶氷を形成した。それを非接触AFMで観察して、微視的な構造を解析したところ、結晶氷の表面は再構成していることが判明した。最表面のダングリング水素の密度が理想表面のものよりも少ないことがわかり、ダングリング水素間の静電反発を軽減するように再構成が起こっていることがわかった。またこの再構成表面は乱れているが、過去の電子線回折や吸収分光の結果と矛盾がないことが明らかになった。 |
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成果となる論文・学会発表等 |