共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

岩塊斜面に形成される地下氷の観測手法の確立
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 福山市立大学
研究代表者/職名 准教授
研究代表者/氏名 澤田結基

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

曽根敏雄 北大低温研

2

森章一 北大低温研

研究目的 山岳永久凍土の下限高度付近では,岩石氷河,崖錐や岩塊斜面など,巨礫が堆積する地形に永久凍土が分布する傾向にあることが知られている.こうした永久凍土の成因として,礫層の空隙で生じる空気対流と地下氷の発達が重要であることがわかっており,空気対流についての研究が数多い一方で,地下氷に関する研究は極めて少ない.本共同研究では,野外観測の経験が豊富な共同研究者と共同して,地下氷の消長を自動観測する手法の確立を目指す.具体的には,小型マイコンと高密度な温度観測によって地下氷が成長・融解する深さの地温データを取得し,別途観測孔を用いた地下氷深度の測定結果と合わせて,地下氷の深度変動の解釈とその検証を行う.
  
研究内容・成果  4月に研究代表者が低温研に行き,所内分担者(曽根,森)と打ち合わせを行い,試作するセンサの密度と深度を決定した。その後夏にかけて部材を用意し,低温研においてマイコンからなるロガーと高密度温度センサを製作した。10月下旬,研究代表者と所内分担者がセンサを設置する十勝管内鹿追町に行き,センサの最終組み立てを行い,観測サイトへ持ち込んで設置作業を行った。設置個所は,これまでに地下氷の観測をマニュアルで行ってきた然別火山群西ヌプカウシヌプリ山頂部である。既存の地下氷観測孔をボーリングし,その内部を埋めていた地下氷を掘削してセンサ挿入用の孔を設け,そこへ棒状の高密度センサ群を挿入した。
 地下氷の成長は,毎年融雪期(概ね4月〜5月)に生じる。そこで次年度は,他の研究費も併用して5月から月1回の頻度で現地へ行き,その都度データを回収するとともに地下氷深度のマニュアル観測を行い,高密度温度センサ群の記録と照合することで,手法の適用性を検討する。得られた成果は次年度に行われる雪氷学会・地理学会などで公表する予定である。
  
成果となる論文・学会発表等