共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
氷表面での特異なステップの振る舞いの解明―不純物の可能性― |
新規・継続の別 | 新規 |
研究代表者/所属 | 金沢大学総合メディア基盤センター |
研究代表者/職名 | 教授 |
研究代表者/氏名 | 佐藤正英 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
鈴木良尚 | 徳島大学理工 | 准教授 |
2 |
勝野弘康 | 立命館大学理工 | 助教 |
3 |
佐崎元 | 北大低温研 | 教授 |
研究目的 | 近年,貴研究所の佐崎らが,氷のベーサル面のステップの挙動を観察し, 過飽和度依存性が素朴な考えでは理解できないことなどを指摘されている。一方で,申請者は不純物および吸着原子の結晶表面からの離脱が無視できる場合には,ステップが表面拡散場を通して強く相互作用するために,低過飽和度のときに不純物により等間隔なステップ列が不安定になり束形成を起こすことなどを明らかにした。 本申請では,佐崎らの観測と不純物効果の関連性について探ることを目的とした。不純物効果の可能性の有無を明らかにすることで,低温環境における気相からの氷の結晶成長におけるステップの挙動についての新たなる知見が得られると考えた。 |
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研究内容・成果 | 申請者の佐藤は,これまでに,不純物と原子が気相から環境相に一定の比率を守りながら入射する場合を想定してステップのバンチングについて研究してきた。特に,M. Sato, J. Phys. Soc. Jpn., 86, (2017) Article ID: 114603 において,結晶表面からの吸着原子の蒸発も不純物の蒸発もない状況でのステップのバンチングについて調べた。入射頻度が低い場合に,ステップのバンチングが起きることを明らかにし,バンチングが起きると結晶表面での不純物の密度が増加することを明らかにした。これに続き,今年度は,(1)不純物の蒸発がある場合, (2) 不純物と吸着原子の両方の蒸発がある場合について調べた。 (1)の場合には,吸着原子の蒸発がない場合と同様に入射頻度が低い場合にバンチングが起き,不純物の表面密度はバンチングが起きることで増加する。しかし,固化した原子の数に対して,結晶内に取り込まれる不純物の数は,バンチングが起きることで減少することがわかった。 (2)の場合にも(1)と同様に吸着原子の蒸発がない場合と同様に入射頻度が低い場合にバンチングが起きた。不純物の表面密度と固化した原子の数に対する結晶内に取り込まれる不純物の数の比は,入射頻度の減少とともに一旦増加するものの,入射頻度が十分に低くなると減少し始めることがわかった。 また,ステップのバンチングがおきる上限の入射頻度付近では,ステップ間隔の揺らぎが大きくなることが分かった。以上の結果については,Phys. Rev. E誌に発表したPhys. Rev. E Vo.97, No.6 (2018) 062801 (9 pages) (Published: 2018/6/15)。 |
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成果となる論文・学会発表等 |
Masahide Sato, Effect of evaporation on step bunching induced by impurities, Phys. Rev. E Vo.97, No.6 (2018) 062801 (9 pages) (Published: 2018/6/15) 佐藤正英, 吸着原子の蒸発があるときの不純物によるステップ束形成,第47回結晶成長国内会議(2018/10/31-11/2, 仙台市戦災復興記念館(仙台市)) 佐藤正英,不純物による微斜面上のステップの不安定化-不純物と吸着原子の蒸発の効果-, 日本物理学会2018年秋季大会(2018/9/9-12, 同志社大学(京田辺キャンパス)) |