共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

 南半球陸域における凍土状況と気候の変動
新規・継続の別 継続（平成27年度から）
研究代表者／所属 国立研究開発法人海洋研究開発機構
研究代表者／職名 主任研究員
研究代表者／氏名 斉藤和之

研究分担者／氏名／所属／職名
　
氏　　名
所　　属
職　　名

1

 福井幸太郎 財団法人立山カルデラ砂防博物館 学芸員

2

 森淳子 株式会社工学気象研究所 主任研究員

3

 松元高峰 新潟大学 特任准教授

4

 曽根敏雄 北大低温研 助教

研究目的 南極域を含む南半球における寒冷圏陸域の表層環境の分布やその変動は，現地の水資源・防災の観点や，寒冷圏に対する地球規模気候変化の影響・応答を把握するために重要であるが，言語的条件に加え，北半球に比べてデータや地域ごとの特性や方法論が十分に統合されておらず，現在および過去の状況に対する理解も十分ではない.
本共同研究では，気象・地形の現地観測に加え，積雪・地形・植生などの衛星観測や気候モデル出力を用いて，南半球寒冷圏陸域表層環境の現状及び過去の状況について気象学・地形学・古気候学的に解析および再現するとともに，広域気候変動との関連性や相互作用を調査することを最終の目的とする.
南部パタゴニア地域における岩石氷河分布研究の対象地域　　
研究内容・成果 低温研にて会合2回，またメール中心に議論・情報交換を行った．あわせて，研究代表者・分担者による現地調査データ（地温，GPS等位置情報，衛星データによる地形解析など）及び他機関による公開データおよび当該分野関連の論文のインベントリの作成を継続した（図参照）．

H30年度には、「低温科学」に地上観測と永久凍土面の温度の関連につき共著でシンセシス論文を発表した。

現地観測の限られる極域の気候的評価のために、現地観測値と広域再解析データをはじめとする気候データを用いて、均質でモデル研究にも直接的に使用できるデータ（入力値あるいは検証値）の作成・評価を行っている。北極陸域を対象としているが、南半球に対しても有効なテクニックであり、また知見である。日本雪氷学会誌「雪氷」で熱・水収支（発表済み）や凍土（投稿準備中）に関する結果を報告した。

同「雪氷」上で南米（パタゴニア、南極半島）の周氷河に関する特集号の投稿を企画し準備作業を続けたが、同9月雪氷大会（誌上開催）時に直接打合せをする機会を失して作業が遅延したため、投稿目標をH31年度中と変更し，準備作業を継続した。

　また、H31年3月に横浜市立中学校にて、当共同研究における南半球に関する知見も含め「環境問題と地球温暖化」と題して研究代表者がアウトリーチ・出張授業を行った。
南部パタゴニア地域における岩石氷河分布研究の対象地域　　
成果となる論文・学会発表等 斉藤和之・森淳子ら、北極陸域モデル相互比較GTMIPの熱・水収支解析、雪氷．80， 2， 159-174， 2018.
森淳子・斉藤和之ら、北極陸域モデル相互比較GTMIPにおける土壌凍結の再現性比較、雪氷（投稿準備中）.
曽根敏雄・斉藤和之、地表面と永久凍土面の年平均温度の違い -年平均気温・地表面温度が氷点下でなくても永久凍土は存在する-、低温科学．77， 49-59， 2019.