共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

海底地形と渦がつくる亜寒帯特有の循環形成と変動メカニズムの理解
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 国立研究開発法人・海洋研究開発機構
研究代表者/職名 主任研究員
研究代表者/氏名 美山透

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

三寺史夫 北大低温研

研究目的 亜寒帯の循環と変動に、亜熱帯とは異なる形で海底地形が与える役割を明らかにする。特に、渦が地形上に順圧流を作り、その順圧流がロスビー波に影響を与えるメカニズムに注目する。現在取り扱っている太平洋亜寒帯に特有の現象だけではなく、南極周極流などでも応用可能な一般的な理論を導く。
図1  
研究内容・成果 これまでの共同研究成果をMiyama et al. (2018)、Mitsudera et al. (2018)の論文として出版した後、Mitsudera et al. (2018)に関しては、「深海底の緩やかな起伏が表層海流と海面水温前線を生む 〜亜寒帯の表層海流と強い海面水温前線をつくり出す新メカニズムを発見〜」として、プレス発表を行った(2018年5月9日付け)。
今年度の共同研究でMiyama et al. (2018)で用いた亜寒帯の北海道沖準定常ジェットを対象とした理想的な2層モデルを拡張した。まず、Miyama et al. (2018)では、準定常ジェットを作るのに重要な海膨だけを地形としていたが、海溝や大陸棚を加えた。さらに亜寒帯から亜熱帯に領域を広げ、亜熱帯循環の黒潮と亜寒帯循環親潮が直接には接しない現実的な風成循環の状況を作った。その結果、現実を単純化した理想的な条件ののもとで、地形無し(図1右)と比べて、地形有りの場合(図1左に)に親潮第一分枝、第二分枝、準定常ジェットという亜寒帯に特徴的な流れを再現できることを確かめることができた。さらに現実的な地形や風変動をいれた実験を準備中である。
加えて、理想的な条件での数値シミュレーションが現実に対応しているかを確かめるために、漂流ブイの軌跡の観測データを分析した。漂流ブイの動きには理論で予測されるような地形に影響される動きが見られた。

図1: 2層モデルの結果。右図が海底地形無しの場合、左図が海底地形有りの場合。緑線が海底地形の位置をあらわす。ベクトルが実験結果の時間平均した1層目の流速。赤が特に強い流れ(>0.2 m/s)
図1  
成果となる論文・学会発表等 プレス発表
1)「深海底の緩やかな起伏が表層海流と海面水温前線を生む」, 2018/5/9, https://www.hokudai.ac.jp/news/180509_pr.pdf
口頭発表
1)Miyama T., Mitsudera H., Nishigaki H., Furue R., Dynamics of a Quasi-Stationary Jet Along the Subarctic Front in the North Pacific Ocean (the Western Isoguchi Jet), AOGS2018, USA, 2018/06/05
2)西川はつみ、三寺史夫、奥西武、伊藤進一、和川拓、長谷川大介、美山透、金子仁, 漂流ブイ観測から視る北太平洋移行領域の亜熱帯水輸送経路, 2018日本海洋学会秋期大会, 東京, 2018/09/15
3)西川はつみ, 三寺史夫, 奥西武, 伊藤進一, 和川拓, 長谷川大介, 美山 透, 金子仁, 漂流ブイで可視化される北太平洋移行領域の亜熱帯水輸送経路, JPGU 2018年大会, 東京, 2018/5/22, 招待講演