共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

吹雪・雪崩災害予測のための降雪粒子自動観測装置および自動解析スキームの開発
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 北海道大学大学院理学研究院
研究代表者/職名 教授
研究代表者/氏名 稲津將

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

白川龍生 北見工業大学 准教授

2

川島正行 北大低温研

研究目的 本研究の目的は、吹雪・雪崩災害予測に不可欠な降雪粒子自動観測装置および自動解析スキームの開発である。理論的には雪の粒子が地表面に達するとき、さまざまな大きさの降雪粒子が最適充填するように積もる。よって、温帯低気圧をカバーする範囲において降雪粒子を同時に観測することができ、かつその情報を元にして物理法則を満たすような積雪の最適充填解を求めるスキームができれば、新雪密度を求めることができる。鍵となるのは降雪粒子の大きさの観測である。しかし、既存の観測装置は極めて高価であり、世界的にも観測は限られている。そこで、多地点観測を可能にするため、ホームセンタなどで手に入る安価な部材で観測測器を作成する。
設置の写真  
研究内容・成果 本研究では、まず観測測器を設計し、広域観測に必要な測器5台を完成させた。観測装置の設置場所は、温帯低気圧等、数十から数百キロメートル規模の気象現象に伴う降雪システムをカバーするように、北海道内広域に展開する。そのうちの1台を北海道大学低温科学研究所(札幌市北区)に、そのほか4台は北海道教育大学旭川校(旭川市)、北見工業大学(北見市)、帯広畜産大学(帯広市)、および民有地(新篠津村)に設置する(設置の様子は添付の写真)。これにより広域的かつ連続的な降雪粒子観測を世界ではじめて実現する。
本年は測器の開発と観測地への設置を行った。測器は落下する粒子をカメラ撮影の残像として捉え、露光時間と粒子の通過軌跡から、粒形と落下速度を粒子ごとに割り出すことができる。テストケースでは、既往研究により明らかになっているあられ・雲粒付きの雪片にみられる典型的な粒径と落下速度の特性曲線に乗ることがわかった。また、東進する傾圧擾乱に対し、西の観測地で得られた降雪特性が、数時間後に東の観測地で見られるような事例もあった。
継続するテーマとして、多地点における降雪粒子の観測結果および降雪粒子の最適充填スキームを組み合わせて、新雪密度シミュレーションを行う。その結果と気象データを比較させることにより、温帯低気圧通過時の新雪密度の傾向を明らかにする点が残る。また、気象モデルにおいても不完全ながら氷相を含む雲物理計算が行われている。可能ならば、その計算結果と観測された降雪粒子の情報を比較し、新雪密度シミュレーションに反映するかを検討する。
設置の写真  
成果となる論文・学会発表等