共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
油脂ー乳化剤結晶表面および界面の原子間力顕微鏡観察 |
新規・継続の別 | 継続(平成29年度から) |
研究代表者/所属 | 広島大学 |
研究代表者/職名 | 講師 |
研究代表者/氏名 | 本同宏成 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
|
所 属
|
職 名
|
|
1 |
MAHISANUNT BUSAKORN | 広島大学 | 学生 |
2 |
長嶋剣 | 北大低温研 |
研究目的 | アイスクリームや冷凍食品中における油脂の結晶化は食品の物性に大きく影響を及ぼすため,低温における油脂結晶化の理解とその制御が重要である.油脂結晶化を制御するため乳化剤がよく用いられているが,油脂―乳化剤間の相互作用について分子レベルでの理解にはいたっていない.我々は油脂結晶化に及ぼす乳化剤の効果を分子レベルで明らかにするため,AFMによる油脂結晶表面を目指している.乳化剤により結晶形態,成長速度,核形成頻度などが影響を受けるが,分子レベルでの観察により,これらの機構を明らかにすることを目的とする. |
|
|
研究内容・成果 | 我々はこれまで,乳化剤結晶の表面に形成される油脂結晶の原子間力顕微鏡(AFM)観察を試みてきたが,乳化剤結晶が球晶を形成するため,その表面のAFM観察は困難であった.球晶では中心から放射状に結晶が伸びているため,広く発達する結晶面が基板と平行に成長せず,AFM観察に適した状態の結晶が得られなかった.そこで今年度はあらかじめ基板に平行に成長している種結晶を準備し,AFM観察可能な状態とすることでその表面の観察を試みた.具体的には試薬として購入したトリグリセリド結晶をガラス基板上に散布し,広く発達した結晶面がガラス基板と平行になるようにした.そののち,種結晶の表面の結晶性を改善するため,結晶融点直下でアニールした.これによりガラス基板上に結晶を固定すると同時に結晶性の改善を試みた.その後室温でAFM観察に供した.種結晶は長軸方向でも数百ミクロン以下と小さく,AFMチップをその上に正確に落とすことは困難であったため,結晶のみの観察はあきらめ,ガラス基板ごと広範囲でスキャンすることで表面の観察を試みた.観察の結果,ステップーテラス構造と思われる像を得ることができたことから,表面トポグラフィを観察できたと考えられる.ステップの高さは数ナノメートルと,結晶構造から予想される値に近い値を得ることができたが,結晶が柔らかく,高分解能での観察が困難であったため,詳細な解析はできなかった.今後は乳化剤結晶と油脂結晶の接合部位を観察するために,乳化剤結晶を基板表面上に作製する方歩を開発する必要がある.乳化剤は親水部と疎水部を分子内に持つため,マイカなどの親水基板を利用することで,乳化剤結晶の配向を制御し,乳化剤―油脂結晶のAFM観察につなげたいと考えている. |
|
|
成果となる論文・学会発表等 |