共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

大雪山系山頂部の微気象と永久凍土構造に関する研究
新規・継続の別 継続(平成28年度から)
研究代表者/所属 北見工業大学
研究代表者/職名 助教
研究代表者/氏名 渡邊達也

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

岩花剛 アラスカ大学フェアバンクス校 研究員

2

曽根敏雄 北大低温研

研究目的 北海道・大雪山系には広く永久凍土が分布し、山岳景観や生態系が凍土との微妙なバランスの上に成り立っている。地球温暖化による凍土の融解は、地形の急激な変化を促す。同時に、凍土は地下の難透水層として地表層の水分状態を湿潤に保つため、その変化は、植生分布に大きな影響を与える。このような変化は、陸地の約20%を占める永久凍土地帯で同様に予測されている。永久凍土分布の南限の一つでありツンドラに似た植生が分布する大雪山系山頂部でも、近未来に大きな地生態変化が起こる可能性がある。本研究では、凍土状態の変化による山岳地表面の変化を捉えることを目的に、大雪山での長期・継続的モニタリングを実施する。
  
研究内容・成果 平成29年8月および平成30年1‐2月に北海道大学低温科学研究所において、「大雪山山系山頂部の美気象と永久凍土構造に関する研究」に関して共同研究を行った。研究対象地、五色岳・白雲岳・小泉岳・平ヶ岳の4サイトについて微気象観測機器のメンテナンスを行い、観測を継続中である。本共同研究期間においては、2017年8月までに回収したデータのノイズ除去とギャップフィリングなどの整理を行い、微気象データの統計処理を行った。上記4地点で採取した10m凍土コアは、凍結状態で持ち帰り、マクロ撮影の後、5-10cm間隔で分割して秤量した。各サンプルは密封状態で融解させ、水分を蒸発の影響がないように抽出した。凍土から抽出した水の安定同位体比鉛直プロファイルがほぼ一様なことから、五色岳の永久凍土は少なくとも10m深までがある時期の天水が地中に浸透し急速に凍結して形成されたことが示唆された。さらに、様々な標高や位置での観測データから大雪山系の永久凍土状態の長期変動および空間的分布について共同研究者間で議論を行った。これまで蓄積した10年間の永久凍土温度プロファイルおよび山岳微気象データの長期変動について論文公表する予定である。
  
成果となる論文・学会発表等 T. Watanabe, T. Sone. Ground thermal regime of soil-wedge cracking in the Daisetsy mountains, Hokkaido, Japan. 2nd Asian Coference on Permafrost, July 2017.

曽根敏雄・渡邊達也、北海道,大雪山の風衝砂礫地における永久凍土の分布下限,日本地理学会春季大会,2018年3月.