共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
東南極域における氷河流動の衛星観測 |
新規・継続の別 | 継続(平成27年度から) |
研究代表者/所属 | 日本大学工学部 |
研究代表者/職名 | 准教授 |
研究代表者/氏名 | 中村和樹 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
山之口勤 | リモート・センシング技術センター | 主幹研究員 |
2 |
青木茂 | 北大低温研 | |
3 |
杉山慎 | 北大低温研 |
研究目的 | メルツ氷河や白瀬氷河等の流動場および接地線を含む流動環境を、人工衛星により観測されたリモートセンシングデータを解析することにより導出する。とくに、Calving前後に注目して、主として合成開口レーダ(SAR)を用いることにより、流動環境の時間的かつ空間的変動に関する考察を目指す。 |
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研究内容・成果 | 本研究では22年間の白瀬氷河の流速変動について知見を得るため、JERS-1、ALOS、ALOS-2衛星搭載のLバンド合成開口レーダ(Synthetic Aperture Radar: SAR)で観測したデータについて、画像相関法を適用して流動速度を求めた。 ALOS-2/PALSAR-2 による白瀬氷河の流速プロファイル(2014年から2017年)によると、上流から接地線(Grounding line: GL)へと向かって流動速度が急激に速くなり、GLを挟む幅 20 kmの領域において一定となり、そこからさらに浮氷舌へと再び流動速度がなだらかに速くなる傾向が見られた。この傾向は、 1996年から1998年に観測されたJERS-1/SARによる流動速度および 2007年から2009 年に観測されたALOS/PALSARによる流動速度から大局的には変化していないと考えられ、氷流中心におけるGLでの流動速度の平均は、2.29±0.02〜0.03 km/aであった。 しかし、氷流中心において流動速度の詳細な年々変動を調べた結果、上流域においては1996年から15年間で平均 0.26 km/a、GL より約18 km上流で最大0.57 km/aの加速が見られ、22年間ではそれぞれ 0.36 km/a、0.72 km/aの加速が見られた。一方、下流域では1996年から15年間で平均0.04 km/a、22年間では平均0.03 km/aの若干の減速傾向が見られた。 今後、この変動の詳細と原因について、ALOS-2/PALSAR-2のScanSARモードによる白瀬氷河と氷河周辺海域(定着氷域)の広範かつ時間分解能の高い観測デー タを基にして、さらに研究を進める必要があると考えられた。 |
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成果となる論文・学会発表等 |
Kazuki Nakamura, Takeshi Tamura, Shuki Ushio, Shigeru Aoki, Tsutomu Yamanokuchi, Koichiro Doi: Estimation of interaction between the displacement of fast ice in Lützow–Holm Bay that occurred with the breaking-away event in 2015-16 and the ice flow velocity of Shirase Glacier, using SAR image correlation, Polar Ice, Polar Climate, Polar Change, Remote sensing and modeling advances in understanding the cryosphere, International Glaciological Society, August 2017. Shuki Ushio, Takenobu Toyota, Daiki Nomura, Kazuki Nakamura: Quasi-periodic breakups of multi-year landfast sea ice and associated change of a floating glacier tongue in Lützow–Holm Bay, East Antarctica, since 1980, Polar Ice, Polar Climate, Polar Change, Remote sensing and modeling advances in understanding the cryosphere, International Glaciological Society, August 2017. |