共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

グリーンランド北西部SIGMA-A浅層コアの物理解析
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 北見工大
研究代表者/職名 准教授
研究代表者/氏名 堀彰

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

大野浩 北見工大 助教

2

飯塚芳徳 北大低温研 助教

研究目的  北極域では地球温暖化の影響が観測されているが、その影響はグリーランド氷床の表面の状態にも現れている。観測が実施される以前の過去の情報に関して、例えば南東ドームの浅層コアに対して行った高分解密度プロファイルの測定から、2012年に観測された大規模な表面融解に匹敵する融解が1960年代までに少なくとも7回起きたことがわかっている。本研究では、南東ドームより表面融解が顕著な北西部のSIGMA-Aサイトで2017年6月に掘削された浅層コアの高分解能密度プロファイルを測定し,同コアの物理基本データを得ることを目的とする。
 
  
研究内容・成果  今回掘削したグリーンランド北西部のSIGMA-Aサイト浅層コアは全長が60m(モデル計算から150年に相当)で、このコアに対して、低温科学研究所のX線透過法による密度測定装置を利用して、分解能1mmの高分解能密度測定を行った。各試料については別途、体積法による密度測定と写真撮影を行っている。例えば、深さ6m付近の試料には融解再凍結層が多数確認できるが、体積法で求めた密度は試料全体の平均値として700 kg/m-3であり、融解再凍結層の存在を断定はできない。X線透過法で測定したデータと写真撮影で得られた画像データを比較すると、概ね密度が800 kg/m-3を超えている部分が融解再凍結層に対応していた。そこで、密度が800 kg/m-3を超える部分の毎年の数を調べた。その結果、1900年代に入って1950年までは増加していたのがいったん急激に減少し、その後現在まで増加しており、特に、1990年代から急激に増加していることがわかった。この結果はMatobaら(2017)のMFPの結果と一致した。今後は高分解能密度プロファイルは、この浅層コアの基本データとして活用される予定である。
  
成果となる論文・学会発表等