共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
ヒマラヤの氷河融解を抑制するデブリの熱特性の計測とモデル開発 |
新規・継続の別 | 新規 |
研究代表者/所属 | 名大環境学研究科 |
研究代表者/職名 | 准教授 |
研究代表者/氏名 | 藤田耕史 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
坂井亜規子 | 名大環境学 | 研究員 |
2 |
福井幸太郎 | 立山カルデラ砂防博物館 | 学芸員 |
3 |
砂子宗次朗 | 名大環境学 | 博士課程3年 |
4 |
佐藤洋太 | 名大環境学 | 修士課程1年 |
5 |
曽根敏雄 | 北大低温研 | |
6 |
森章一 | 北大低温研 |
研究目的 | ヒマラヤにおける氷河変動は、海水準や地域水循環へ大きな影響から強い関心を集めているが、多くの大型氷河はその下流域を岩屑(デブリ)に覆われており、質量収支の推定に大きな不確実性をもたらしている。デブリの厚さの空間分布は非一様であるが、現地調査による把握は現実的でないため、申請者はこれまで、デブリの厚さを熱伝導度で除した熱抵抗値を衛星データから求め、氷河融解を推定する手法を開発してきた。また、2016年よりネパールヒマラヤの氷河にて観測網を立ち上げている。本研究では、現地で採取してきたデブリ試料の熱伝導度を様々な条件下で計測するとともに、計測データに基づいて熱伝導モデルを開発することを目的とする。 |
研究内容・成果 | 本研究が採択されて以降、5月に研究の進め方に関する打合せをおこない、8〜9月に装置、特に熱伝導率を計測するセンサのデザインをおこなった。10〜11月にかけては申請代表者が代表を務める科研費によるヒマラヤでの現地観測を実施し、過去二年分の気象や氷河融解に関するデータを取得すると共に、現場でデブリの熱伝導率や含水率の計測をおこない、帰国後に取得したデータの解析を進めた。また、現地観測の際には追加のデブリ試料を採取している。11月以降、センサの作成を進め、2月15日現在、センサの検定をおこなっているところである。 センサ作成と計測装置の組み上げと並行して、鉛直一次元の熱伝導モデルの開発を進めた。デブリ層では2cmインターバル、氷河氷については10cmインターバルとし、表面温度を外部入力として与えることで駆動するモデルとなっている(図を本報告書と共に提出)。氷河氷については深度10mが氷体温度0℃とする境界条件を与えているが、これまで温暖氷(0℃)と考えられていた深度5mでも、冬季の寒気が浸透する様子が見えている。一方で、現行のバージョンではデブリ内部の水分の凍結融解過程が組み込まれていないため、熱の伝達を過剰に見積もっている可能性があり、改良を進める必要があると認識している。 今後、観測データを外部入力としてモデルを走らせ、これまでに観測したデブリ層内部の温度を利用してモデルの検証をおこなう予定である。 |
成果となる論文・学会発表等 |
学会発表 Fukui K, Fujita K, Tshering P, Furuya M: Rock glaciers in the Bhutan Himalayas. The 2nd Asian Conference on Permafrost (ACOP2017), Sapporo, Japan, Jul 2-6, 2017, oral03Jul. 砂子宗次朗, 藤田耕史, 坂井亜規子: ネパール・ヒマラヤ,トランバウ氷河におけるデブリ域の熱特性について. 雪氷研究大会, 十日町, Sep 24-27, 2017, oral27Sep. 福井幸太郎, 藤田耕史, Tshering P, 古屋正人: ブータン・ヒマラヤの岩石氷河. 雪氷研究大会, 十日町, Sep 24-27, 2017, oral27Sep. Fujita K, Sunako S, Sakai A, Fukui K, Sugiyama S, Kayastha RB: In-situ measurement of mass balance on a debris-covered Trambau Glacier, Nepal Himalaya. American Geophysical Union Fall Meeting 2017, New Orleans, USA, Dec 11-15, 2017, oral15Dec. |