共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

カムチャッカ半島沖海底堆積物試料を用いた古海洋環境復元研究
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 九州大学大学院理学研究院地球惑星科学部門
研究代表者/職名 准教授
研究代表者/氏名 岡崎裕典

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

関宰 北大低温研 准教授

研究目的 本研究は、最終氷期以降の北西太平洋亜寒帯域における海洋環境変動復元を目的とし、2014年に実施されたロシア船マルタノフスキー号航海時にカムチャッカ半島沖で採取された海底堆積物コア試料の分析を行う。研究代表者が担当する海洋珪質微化石群集および微粒炭分析結果と、低温科学研究所内の研究分担者である関宰准教授が担当するバイオマーカー分析結果について議論を行い、研究を進める。
  
研究内容・成果 カムチャッカ半島沖海底堆積物コアMU14 PS1から浮遊性有孔虫殻を拾い出し、2点の放射性炭素年代測定を行った。その結果、2枚の炭酸塩濃集層が最終退氷期の融氷パルスイベント(大陸氷床が急速に融解した時期, MWP)に一致することが確認された。また、陸起源バイオマーカ―であるアルカン濃度は、MWP時に穏やかな増加が見られた。これらの変化パターンはMWP時に顕著なアルカンピークを示したオホーツク海堆積物データと対照的であり、アルカンの起源や輸送過程がカムチャッカ半島を挟んだオホーツク内外で異なっていることが示唆された。
 過去の海氷被覆域の復元を行うための海氷指標の高精度化を目指し、海氷域に生息する藻類(アイスアルジー)の生態と季節変動を明らかにするため、オホーツク海サハリン沖の季節氷域に係留された時系列セディメントトラップ試料中の珪藻群集組成変動を調べた。また同試料の藻類起源バイオマーカ―と比較したところ、珪藻由来と考えられる24メチレンステロールが最も珪藻フラックスと良い一致を示すことがわかった。
 カムチャッカ半島沖に飛来する微粒炭の動態を調べるため、北太平洋西部亜寒帯循環中心部および亜寒帯境界に係留された時系列セディメントトラップ試料中の元素状炭素分析を行った。亜寒帯境界では夏季に顕著な元素状炭素フラックスピークが観測された。一方、北太平洋西部亜寒帯循環中心部では明瞭な季節変化は見られなかった。これらの結果を、森林火災データベースなどと比較したが、明白な一致を示したものはなかった。
以上の成果について、2017年3月7日-10日に、低温科学研究所を訪問し、関宰准教授と議論し、今後の成果取りまとめに向けた研究の進め方について打ち合わせを行った。
  
成果となる論文・学会発表等