共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
ストレス順応性と自然免疫活性相関の解析 |
新規・継続の別 | 新規 |
研究代表者/所属 | 佐賀大農学部 |
研究代表者/職名 | 教授 |
研究代表者/氏名 | 早川洋一 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
龍田勝輔 | 佐賀大総合分析センター | 助教 |
2 |
松本均 | 佐賀大農学部 | 非常勤研究員 |
3 |
落合正則 | 北大低温研 |
研究目的 | 今回、着目する生理的現象は、弱い温度ストレス前処理によるストレス順応性獲得過程である。一般に、多くの生物種において、前処理ストレスによるその後の強いストレスに対する耐性上昇現象が報告されており、ストレス順応性獲得と呼ばれている。本研究では、対象の昆虫幼虫に様々な温度ストレスを与え、その上で、次に強い高温ストレスを与えた後の生存率を調べる。さらに、自然免疫活性変動を分析する。昆虫サイトカインGBPは、自然免疫活性の指標となる抗菌ペプチド遺伝子発現を上昇させる活性を示すことが確認できている。GBPの活性化や抗菌ペプチド遺伝子発現レベルを自然免疫活性の指標に用いる。 |
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研究内容・成果 | アワヨトウ、カイコ幼虫を用いて高温ストレス耐性を測定した結果、それぞれ、44oC, 43oCで1時間の高温ストレスによって、2日後の生存率が20%であることが明らかになった。両種幼虫とも、それぞれ1oC低い熱ストレス(43oCと42oC)では共に2日後の生存率は50%以上であった。したがって、僅か1oCの温度差によって両幼虫へのストレス効果は大きく異なること、さらに、アワヨトウ幼虫の方が、カイコ幼虫より僅かに熱ストレス耐性が強いことが確認できた。 以降は、アワヨトウを用いた実験結果を紹介する。熱ストレス前処理を38oC〜44oCで1時間行った結果、40oC/1時間の前処理条件で熱ストレス耐性を上昇することが明らかになった。すなわち、40oC/1時間の熱ストレス前処理を施したアワヨトウ幼虫では、その後の44oC/1時間の強い致死的熱ストレスを経験しても、2日後の生存率が80%以上となった。38oC, 42oC, 43oCの前処理では、それぞれの2日後生存率は約30%, 50%, 0%という結果であった。以上の結果から、弱い熱ストレス前処理によって、その後の強いストレスに対する耐性が確かに上昇することが明らかになった。さらに、最適な前処理温度が存在することも明らかになった。アワヨトウ幼虫の場合、40oC/1時間であった。 次に、活性酸素種(reactive oxygen species (ROS))濃度の測定を行なった結果、最適熱ストレス条件(40oC/1時間)によって、ストレス開始後約30分ほどで血中ROS濃度は約70µM程度に上昇することが明らかになった。その後、ROS濃度は減少傾向を示した。一方、38oCではROSの上昇は全く検出されず、42oCではROS上昇は観察されたものの、熱ストレス開始後1時間程度で上昇し始め少しずつ上昇し続ける傾向が見られた。すなわち、40oC熱ストレスのみ、血中ROSの一過的上昇を誘起することが明らかになった。 40oCの熱ストレス条件下で血中の活性型GBP濃度を測定した結果、熱ストレス開始後5〜10分にして濃度上昇傾向が認められた。このことから、熱ストレスは、血リンパ中の前駆体GBPから活性型GBPへのプロセシングを誘起することが明らかになった。現在、熱ストレスによって上昇したGBPが血球や脂肪体の抗菌ペプチド遺伝子の発現を上昇させるかどうかについて解析を進めている。 |
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成果となる論文・学会発表等 |