共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
北海道内における土壌凍結深の変動に関する研究及び機器の開発 |
新規・継続の別 | 継続(平成27年度から) |
研究代表者/所属 | 宮城大学食産業学部 |
研究代表者/職名 | 准教授 |
研究代表者/氏名 | 原田鉱一郎 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
森淳子 | 中央大学 | 非常勤講師 |
2 |
吉川謙二 | アラスカ大学フェアバンクス校 | 教授 |
3 |
曽根敏雄 | 北大低温研 | |
4 |
森章一 | 北大低温研 |
研究目的 | 寒冷圏の自然環境のうち、土壌の凍結深は気温や積雪深によって大きく影響を受ける。このため、土壌凍結深を継続してモニタリングすることにより寒冷圏の短期的・長期的な気候変動を示す良い指標となりうる。しかしながら、1990年代以降、北海道内では広域にわたる土壌凍結深の同時観測はほとんど行われていないのが現状である。そこで本研究では、北海道内の土壌凍結深の測定を広域にわたって実施し、その変動を明らかにすることを目的とする。また、この土壌凍結深の観測を自動化することによって更に観測が容易となる。このために、本研究では観測機器の開発と現地での検証も目的とする。 |
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研究内容・成果 | 本研究では、まず5月に研究代表者(原田)が札幌を訪れた。所内分担者(曽根)と共に、前年度に北海道東部の2地点に設置して自動観測を行っていた多深度地温計のデータの回収を行った。回収したデータから、所内分担者(曽根)が地温から内挿して凍結深度を求めた。この凍結深度と、土壌凍結深計によって冬季間に手動で得られた凍結深度と比較すると、凍結開始期から凍結進行期である2月初めまでは両者の値はほぼ一致することがわかった。しかし2月中旬以降は、地温から求めた凍結深度がやや深くなった。この理由として、地温計が地表から浮き上がった(凍上した)可能性が挙げられた。また、融解期である3月以降は、凍結進行期に比べると0℃近傍の温度勾配が小さくなるため、地温からの凍結深の推定精度が低下することも判明した。 以上の観測結果を基に、本年度は観測地点を前年度の2地点から北海道内4地点に増やし、より様々な環境下での両装置の比較検討が可能となる観測を行った。機器の設置には12月に研究代表者(原田)が札幌を訪れて、所内分担者(曽根)と共に行い、現地協力者に凍結深計による測定を依頼した。また、本年度は多深度地温計に改良を加えて、小型化を行った。12月には所外分担者(森淳子)が札幌を訪れて、所内分担者(曽根、森章一)と観測機材の開発に関する打ち合わせを行い、今後の開発方向を検討した。 冬季間、現地の協力者によって観測が継続されており、3月に研究代表者(原田)が札幌を訪れて、ここまでの観測結果についての打合せを行った。土壌凍結深計による観測では、この冬の凍結深は最大で北海道池田町で42.5cmを3月上旬に記録している。ここでは積雪量が少なく、土壌凍結が進行したと考えられる。一方、中標津町では積雪の影響により最大積雪深は7cmとなっている。このように、気温のみならず積雪深が地温や土壌凍結深に大きく影響を与えていることが確かめられた。多深度地温計による地温の自動観測を実施中であり、2シーズン目の多深度地温計の検証は、凍結期間が終了し、データを回収した後に行う予定である。 これまでの観測・解析結果は、9月に名古屋で開催された雪氷研究大会(2016・名古屋)にて発表され、講演要旨集に掲載された。 |
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成果となる論文・学会発表等 | 曽根敏雄、原田鉱一郎、森章一(2016). 多深度地温測定装置を用いた凍結深観測 -2016年十勝・釧路地方の例-. 雪氷研究大会(2016・名古屋)講演要旨集, 283. |