共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

農薬残留濃度の推定に関する研究
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 熊本県保環研
研究代表者/職名 研究主任
研究代表者/氏名 宇梶徳史

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

原登志彦 北大低温研 教授

研究目的 農薬は、農作物の安定生産を支える重要な農業資材である。世界における耕地面積がほとんど増加していないにも関わらず、増え続ける世界の食糧需要を支えられている要因の一つは農薬にある。その一方で、農薬はその用途上、生物の生命活動に影響を与える化学物質であるため、微量でも生態系や人体への負荷が大きい化学物質である。本研究では、排出される農薬量をモデルにより推定することによって、生態系や農作物における農薬残留を正確に推定することを目的とする
  
研究内容・成果 熊本県で栽培面積が拡大している果樹類オリーブの農薬残留濃度予測を藤田ら(2013)の作物農薬残留量推定モデルを利用して推定を行った。モデルによる推定により、オリーブ(葉)における殺虫剤ジノテフランの残留濃度は、散布1日後には40.66ppm、散布7日後には20.17ppm、散布14日後には8.907ppmと推定され、作物中の残留基準値を14日後に下回ると推測された。
 モデルの精度は、実際に香川県小豆島町と熊本県天草市でオリーブにジノテフラン(スタークル顆粒水溶剤)を1週間間隔で2回散布し、散布7日後、14日後、21日後に葉を採取してジノテフラン分析を行った。その結果、香川県の試料における残留値はモデル推測値を上回る、天草市の試料における残留値はモデル推測値を下回る結果となったが、ともに農薬の消長はモデル推測値とほぼ一致していた。このことから作物農薬残留量推定モデルは、農薬残留量の全体的な消長を把握するうえで有効であることが示された。
  
成果となる論文・学会発表等 宇梶徳史1、濱本愛1、飛野敏明1、原登志彦2、村川弘1(1熊本県保環研、2北大低温研)オリーブ(葉)におけるジノテフラン分析とその残留濃度予測
第23回農薬環境科学研究会・第38回農薬残留分析研究会合同研究会講演要旨集 p109-113 (2015)