共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
北海道厚岸湖アマモ群落における地球温暖化ガスN2O固定微生物の特定に向けて |
新規・継続の別 | 新規 |
研究代表者/所属 | 日大生物資源 |
研究代表者/職名 | 准教授 |
研究代表者/氏名 | 中川達功 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
高橋令二 | 日大生物資源 | 教授 |
2 |
福井学 | 北大低温研 |
研究目的 | 北海道厚岸湖にはアマモ群落が広く分布している。そのアマモ群落は稚魚の隠れ場となり生物多様性の維持や水産業の維持に貢献している。さらに、厚岸湖のアマモ群落はカキやアサリの養殖業で生じる富栄養化を軽減している可能性もある。2013年と2014年の厚岸湖における調査で、厚岸湖に広がるアマモ群落には地球温暖化ガスである亜酸化窒素の発生を抑制する効果が見えてきた。そこで、本研究では、その可能性を確かなものとするため、亜酸化窒素固定微生物の特定を試みることを目的とする。 |
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研究内容・成果 | 北海道大学北方生物圏フィールド科学センターの厚岸臨海実験所を利用し、厚岸湖のアマモ群落と非アマモ群落の底泥を採取した。採取した泥と亜酸化窒素を定期的に添加した培養ビンを20℃で培養し、一週間培養したことによるN2Oガス発生の有無、そして底砂中のN2O還元酵素遺伝子(nosZ)のクローニング解析及び、次世代シーケンサーを用いた16S rRNA遺伝子の解析による群集構造解析を行い、アマモ群落における脱窒菌とN2Oガス発生の相関の調査を行った。培養ビンの気相の亜酸化窒素ガスはガスクロマトグラフで解析した。亜酸化窒素固定が期待される窒素固定遺伝子のPCRによるアガロースゲル電気泳動の半定量と群集構造解析を試みた。さらに、次世代シーケンサーMi Seq(Illumina社)を使用し、メタゲノム解析によるN2Oガス軽減微生物の特定を試みた。 ガス分析の結果、非アマモ場に比べてアマモ場の泥はN2Oガス発生量が少なく、NH4Cl、N2Oガスを添加したものも非アマモ場に比べて少なく、その差は2倍以上であった。さらに、nosZ遺伝子のクローニング解析、16S rRNA遺伝子のメタゲノム解析の結果、アマモ場の脱窒菌の存在が確認されたため、アマモ群落に生息する脱窒菌によるN2Oガスの吸収効果の可能性が強く示唆された。 |
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成果となる論文・学会発表等 |