共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

非接触原子間力顕微鏡による氷表面のナノ計測
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 阪大基礎工学研究科附属極限科学センター
研究代表者/職名 教授
研究代表者/氏名 阿部真之

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

山下隼人 阪大基礎工学研究科附属極限科学センター 助教

2

長嶋剣 北大低温研 助教

3

二瓶恵 阪大基礎工学研究科システム創成専攻 M2

研究目的 氷は自然界に多量に存在し、氷表面は氷の成長・融解や様々な化学反応が起こる場となる。このような現象は自然環境に大きな影響を与えるため、様々な研究が行われているが、ミクロ観察はまだまだ不十分であり、氷表面を分子レベルで観察することはいまだなされていない。本研究は、非接触原子間力顕微鏡(NC-AFM)の開発を専門とする阪大極限科学センターのグループと、氷表面の物性や観察を専門とする北大低温研とが協力することで、NC-AFMによる氷表面のナノ計測を行うことを目的とする。
  
研究内容・成果  一般的に使用されているAFMにおいて、AFM探針の変位検出方法は半導体レーザーと分割フォトダイオードが用いられる(光てこ方式)場合が多い。光てこ方式ではレーザーの熱が氷測定に影響をおよぼす可能性があるため、レーザー光を用いない水晶振動子を用いた自己検出型AFMの開発を行った。具体的には共振周波数が1MHの縦長水晶振動子にAFM探針を取り付けるためのシステムを作製し、取り付けた振動子の共振周波数やQ値を解析できるようにした。さらに、自己検出型の水晶振動子は電極による反共振が存在し、それが測定に影響を及ぼしている可能性があることから、それを補償するための回路も開発した。
 氷表面の測定を行う以前に常温で自己検出型AFMの測定を行い分解能を評価した。その結果、高配向熱分解黒鉛(HOPG)、カルサイト(CaCO3)、臭化カリウム(KBr)、二酸化チタン(TiO2)の測定を行った。その結果、それぞれの試料でステップ・テラス構造を観察した。しかしながら、原子分解能での測定には成功しなかった。その理由としては、自己検出型水晶振動子のばね定数が非常に高いため、引力領域がなく探針先端がダメージをうけてしまったからであると判断した。
 次年度は、バネ定数の小さい水晶振動子を用いてAFM測定を行い、さらに氷測定専用のセルを作製し、実験を進めていく予定でいる。
  
成果となる論文・学会発表等