共同研究報告書


研究区分 研究集会

研究課題

 グリーンランド氷床の質量変化と全球気候変動への影響
新規・継続の別 継続（平成24年度から）
研究代表者／所属 防災科学技術研究所雪氷防災研究センター
研究代表者／職名 主任研究員
研究代表者／氏名 山口悟

研究分担者／氏名／所属／職名
　
氏　　名
所　　属
職　　名

1

 阿部彩子 東京大学 准教授

2

 藤田耕史 名古屋大学 准教授

3

 榎本浩之 情報・システム研究機構　国立極地研究所 教授

4

 植竹淳 新領域融合研究センター 特任研究員

5

 朽木勝幸 気象庁気象研究所 研究官

6

 庭野匡思 気象庁気象研究所 研究官

7

 本山秀明 情報・システム研究機構　国立極地研究所 教授

8

 永塚尚子 情報・システム研究機構　国立極地研究所 研究員

9

 竹内望 千葉大学 教授

10

 斎藤冬樹 独立行政法人海洋研究開発機構 研究員

11

 澤柿教伸 北海道大学大学院地球環境科学研究院 助教

12

 鈴木和良 独立行政法人海洋研究開発機構 主任研究員

13

 末吉哲雄 独立行政法人海洋研究開発機構 技術研究副主任

14

 谷川朋範 宇宙航空研究開発機構 研究員

15

 津滝俊 情報・システム研究機構　国立極地研究所 特任研究員

16

 東久美子 情報・システム研究機構　国立極地研究所 准教授

17

 松尾功二 京都大学 研究員

18

 保科優 名古屋大学 D3

19

 大沼友貴彦 千葉大学 D2

20

 川村賢二 情報・システム研究機構　国立極地研究所 準教授

21

 堀雅裕 宇宙航空研究開発機構 主任研究員

22

 橋本明弘 気象庁気象研究所 主任研究員

23

 紺屋恵子 独立行政法人海洋研究開発機構 研究員

24

 鈴木利孝 山形大学 教授

25

 小室悠紀 山形大学 D2

26

 三浦英樹 情報・システム研究機構　国立極地研究所 助教

27

 的場澄人 北大低温研

28

 杉山慎 北大低温研

29

 RalfGreve 北大低温研

研究集会開催期間 平成 26 年 11 月 25 日 〜 平成 26 年 11 月 27 日
研究目的 グリーンランド氷床は北半球最大の氷塊であり， 全球氷体積の約10%， 海水準にして約7mに相当する. 近年の人工衛星による観測データは， その氷体積が顕著な減少傾向にあるだけでなくその減少速度の加速を示している. 氷床縮小の原因として 「表面質量収支の減少」と「氷河・氷流の流動加速」であることを指摘されているが， なぜ融解量が増加し流動が加速するのかそのメカニズムが明らかになっていない.本研究集会では， 国内の研究機関に所属しているグリーンランドの観測やコア解析をしている研究者並びにグリーンランドの数値モデルに取り組んでいる研究者を一同に集め， 情報交換・議論を行うことを目的とする.
　　
研究内容・成果 本研究集会では以下の7つのテーマについて34件の発表があり40名の参加があった.
1.カービング氷河の流動と変動、海洋環境
2.氷帽の変動
3.氷帽、氷床上の生物活動
4.SIGMA活動報告　
5.氷所モデリング
6.氷床コア
7.質量収支、積雪、海洋
8.雪氷科学
テーマ1では， 氷河上における現地観測並びに衛星データによる氷河の変動の解析結果およびカービング氷河の変動に関係する海洋環境の調査結果が報告された. テーマ2では， 近年グリーンランド周辺の氷帽がどのように変動しているのか， その原因はなにに起因しているかの議論が行われた. テーマ3では， 表面アルベドを低くする雪氷微生物に関する話題， その起源に関する発表があり， 雪氷微生物の影響をどのように積雪モデルに取り組むのかに関する議論が行われた. テーマ4では， 2014年度のグリーンランドでの観測結果だけではなく， 気象庁の開発した地域気象モデルを用いたグリーンランド上の気象予測の結果など， 科研費「北極域における積雪汚染及び雪氷微生物が急激な温暖化に及ぼす影響評価に関する研究（略称SIGMA）」の活発な活動が報告され， それを基に今後以下に取得したデータを有効に活用していくかに関する議論が行われた. テーマ5では， グリーンランド氷床のモデルの精度向上に向けてモデル側から観測側に期待する点， また観測側からモデルに関する疑問やモデル内で使用している数式に関する問題点などに関する議論が行われた. テーマ6では氷床コアから復元された長期的なグリーンランド氷床の気候変動に関して， その研究手法も含めて紹介があり， 今後採取するコアの解析方針も含めて議論が行われた. テーマ7では， 詳細積雪モデルと地域気象モデルを結合することによるグリーンランドの質量収支の再現実験の報告等がなされ， 今後氷床モデルの精度向上に結び付けるためにはどのように解析をすべきかに関する議論が行われた. テーマ8では， 化学分析を基に氷床上の汚染物質の起源を明らかにするための研究が紹介された.
今年から海洋関係の観測結果の発表も加わり， まさに総合的にグリーンランドの研究をするにあたっての非常に良い情報交換の場となっている. その意味で， 今後の新しい研究手法や研究テーマが発展していく際の良いきっかけとなったと考えられる.
　　
研究集会参加人数 40 人