共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

アクアポリンヘテロ四量体の単量体組成変化と水輸送活性調節
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 岡山大植物研
研究代表者/職名 助教
研究代表者/氏名 柴坂三根夫

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

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田中歩 北大低温研 教授

研究目的 異種遺伝子発現系では植物の原形質膜型アクアポリンが異なるアイソマーからなるヘテロ四量体を形成し、構成する単量体成分が異なる水輸送活性を示すことが既に明らかにされている。しかし、植物体において水輸送活性が変化する時にヘテロ四量体の成分が変化する現象が起こっているか、まだ確認されていない。本研究は、環境の変化に応じてヘテロ四量体が実際に植物体内で単量体成分の組換えが生じさせ、その活性を変化させているのかどうかを検証することにある。
  
研究内容・成果  当初計画ではYFPタンパク質を標識したAtPIP1;2を発現するシロイヌナズナ形質転換体を用いて、PIP四量体の構成単量体を分析することにしていた。しかし、共同研究を進め議論を深めるうちに、当初計画の方法の遂行は困難であることがわかった。すなわち、PIPアクアポリンはそのアミノ酸配列も分子量も非常に似たホモログが13種も存在するため、PIP四量体の構成単量体を決定することは不可能である。これに関しては本年度の進展を元に新たな方法を構築して次年度以降に再び取り組むことにした。

 オオムギ根の水透過性は水銀により著しく阻害されるにも関わらず、オオムギ根の根で発現している主要なPIP2は水銀に感受性がなく、HvPIP1;2と共発現した場合に水輸送活性が水銀により著しく阻害されることを実証した。この結果hはオオムギ根の原形質膜に実際に存在するPIP四量体組成はPIP1とPIP2の混成で成り立っていることを強く示唆している。

免疫染色観察によると、HvPIP2;1は中心柱にも多く発現するが、外皮のexternal側に特徴的発現が見られ、HvPIP2;3またはHvPIP2;4も中心柱と内皮のinternal側に局在していた。この観察結果は表皮から中心柱に向かう水輸送にこれらのPIP2が最も寄与していること示唆している。
  
成果となる論文・学会発表等