共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
嫌気的炭化水素分解培養系における硫酸還元菌の機能解析 |
新規・継続の別 | 新規 |
研究代表者/所属 | 高知工業高等専門学校 |
研究代表者/職名 | 助教 |
研究代表者/氏名 | 東岡由里子 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
福井学 | 北大低温研 | |
2 |
小島久弥 | 北大低温研 |
研究目的 | 炭化水素の生分解について、その全容を把握するには嫌気分解メカニズムを解明することが必要である。しかしながら、嫌気性微生物は増殖に時間がかかることや、培養に技術的困難が伴うため、好気分解に比べて炭化水素の嫌気分解については研究が遅れている。また、分離されている嫌気性炭化水素分解菌は好気性菌に比べて少なく、嫌気分解に関する知見が乏しい要因となっている。本研究では、炭化水素の嫌気分解について新たな知見を得ることを目的とし、炭化水素分解集積培養系から分離した硫酸還元菌について機能解析を行った。 |
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研究内容・成果 | 解析にはDesulfatitalea tepidiphila S28bF株を用いた。S28bF株は、干潟堆積物を接種源とし、p-キシレン、トルエンをそれぞれ唯一の炭素源とする集積培養を経て分離された硫酸還元菌である。炭化水素を培養基質として用いた集積培養を経ているが、S28bF株はp-キシレンおよびトルエンを含む石油系炭化水素の分解能をもたない。しかしながら、トルエンは種々の炭化水素の中でも生物への毒性が比較的高いことが知られており、S28bF株はトルエンに対して耐性をもっている可能性がある。 ゲノム解析の結果、コンティグ数7のドラフトゲノムデータが得られた。ゲノムサイズは5.6 Mbpだった。塩基配列からタンパク質コード領域の推定を行い、データベース上で相同性の高い配列の検索を行った。その結果、D. tepidiphila S28bF株のゲノム上には硫酸還元菌であるDesulfotomaculum alcoholivoraxの芳香族ヒドロキシラーゼと相同性の高い領域が存在することが示された。また、芳香族化合物の一つであるアクリフラビンの耐性タンパク質と相同性の高い領域も存在した。これらの遺伝子が、D. tepidiphila S28bF株がp-キシレンやトルエンのような芳香族炭化水素を含む培養系で増殖するのに役割を果たした可能性がある。 |
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成果となる論文・学会発表等 |