共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
観測と数値モデルによる雪雲や雨雲の解析 |
新規・継続の別 | 継続(平成24年度から) |
研究代表者/所属 | 気象庁気象研究所 |
研究代表者/職名 | 室長 |
研究代表者/氏名 | 山田芳則 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
小西啓之 | 大阪教育大学 | 教授 |
2 |
吉本直弘 | 大阪教育大学 | 准教授 |
3 |
中井 専人 | 防災科研長岡雪氷防災センター | 総括主任研究員 |
4 |
藤吉康志 | 北大低温研 |
研究目的 | 雪雲や夏季の雨雲の構造に関しては現在でも解明されていないことが多い。本研究では、 1)北海道に出現するさまざまな雪雲や雨雲の構造に関して、観測や数値モデルに基づいた総合的な解析 2)これまでの共同研究で開発してきた解析システムを基礎として、複数のドップラーレーダーデータによる高精度3次元風解析システムを用いた準リアルタイム風解析システムの試作 3)ドップラー速度情報を併用した海氷移動ベクトルの効率的で精度良い作成方法の開発 を目的とする。 |
研究内容・成果 | 2013年3月2〜3日にかけて北海道東部で発生した猛吹雪について、紋別市の大山山頂に設置した北大・低温研ドップラーレーダーデータを用いて強風発生のメカニズムや降雪雲内の気流構造等の解析を行った。降雪雲内の3次元気流構造をドップラーレーダーデータから擬Triple-Doppler解析から算出することを試みた。用いた風解析方法は、高精度かつ基線やその周辺でも風速成分を解析できるMUSCAT法である。風の場を水平解像度0.5 km で算出することはできたとはいえ、仰角約3度以下のPPIデータはドップラー速度と反射強度がオホーツク海上の海氷の影響を大きく受けており、海上では精度よく風の場が算出できず残念な結果となった。 暴風雪発生のメカニズムを解明するために、気象庁非静力学モデルによる下記の2つの数値実験を行った。 (1) 初期値と境界値に6時間ごとの全球解析値を用いて、水平解像度 5 km のモデルを初期値2013年3月1日18UTCから24時間予報を行い、この結果に水平解像度 1 km のモデルをネストさせて3月1日21UTC初期値から12時間予報。 (2) 初期値と境界値に6時間ごとの全球解析値を用いて、水平解像度 5 km のモデルを初期値2013年3月2日00UTCから24時間予報を行い、この結果に水平解像度 1km のモデルをネストさせて3月2日03UTC初期値から12時間予報。 いずれの実験でも、気象庁非静力学モデルに組み込まれているバルク微物理モデルと新たに開発した微物理モデル、それぞれについてモデルを実行した。 地表風については、オホーツク海沿岸部ではモデル計算値とアメダスによる観測値とがほぼ対応していたのに対して、根釧台地の内陸部ではモデル計算値がアメダスデータの50〜70%程度であることが多かった。この結果は、斜里岳やその周辺の山地から吹き下ろしてくる山越え気流の強さに改善の余地があることを示唆している。 レーダーで観測された、海上から湧別付近に到達するような幅が約 10 km の細いバンド状のやや強い降雪域が 1 km 解像度のモデル実験でも再現された(微物理モデルの違いに関係なく)。このバンド内の降雪粒子の単位体積あたりの質量(降雪強度に比例する)を経験式から見積もると、現行と新しい微物理モデルで予測された値の間にあった。また、2つの微物理モデルの違いは、予測された雪の場に明瞭に見られた。新しいモデルを用いると、雪の混合比は海岸から標高が高くなるにつれて大きく、また海上での雪の混合比は小さかったのに対して、現行のモデルでは海岸や岸に近い海上でも雪の混合比が大きく、しかも風上斜面上でこの値が大きくなる結果であった。 オホーツク沿岸部に設置された低温研レーダーは、オホーツク海上の降雪雲や海氷の研究に非常に有効であった。 |
成果となる論文・学会発表等 | 山田 芳則、藤吉 康志、大井 正行、2014: 2013年3月2〜3日の北海道東部での暴風雪に関する数値実験. 2014年度日本気象学会春季大会(講演申し込み済み). |