共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

フィブリノゲンクライオゲル形成におけるBβ鎖N末端領域の役割
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 群馬大学大学院
研究代表者/職名 准教授
研究代表者/氏名 外山吉治

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

窪田健二 群馬大学大学院 教授

2

木川浩平 群馬大学大学院 大学院修士課程1年

3

落合正則 北大低温研

研究目的 目的
血液凝固の主要因子であるフィブリノゲンは、通常トロンビン作用を受けて、フィブリンへと転化することによりゲル化する。一方、フィブリノゲン水溶液を4℃以下の低温下に曝すと、トロンビン作用を受けることなくゲル(クライオゲル)を形成する。クライオゲルに関する研究は殆どなく、その機構に至っては全く解明されていない。本研究では、フィブリンゲル形成において相互作用の存在が示唆されているB-beta 鎖N末端領域に注目し、フィブリノゲンクライオゲル形成における役割の解明を目指す。本年度は比較のため、生体内で起こるトロンビン作用によって生じるフィブリン重合への影響について調べた。
  
研究内容・成果 実験
「リコンビナントB-beta 鎖N末端領域の作製」
ヒトフィブリノゲンB-beta 鎖のN末端から1-66残基の遺伝子配列をpGEX-6P-1ベクターに組み込むことでB?鎖N末端領域を発現させるためのプラスミドを作製した。 このプラスミドを用いて、BL21(DE3)株を形質転換させ、大量発現させた。 精製にはGSTカラムを用い、B-beta 鎖N末端領域(約9.2 kDa)を得た。
「濁度測定」
フィブリノゲン(最終濃度 0.003mM)に作製したB?鎖N末端領域0.06mM、0.126mMを加えた測定サンプルにトロンビンまたはレプチラーゼを添加し、フィブリンゲル形成の経時変化を測定した。測定には分光光度計を用い、測定温度25℃、波長350 nmで10分毎に行った。

結果および考察
フィブリゲンにB-beta 鎖N末端領域を1:20、1:42になるように添加した時のトロンビン系での濁度の経時変化を表したものである。B-beta 鎖N末端領域を添加する事で、コントロールに比べ、遅延・抑制効果が見られた。レプチラーゼ系でも同様の結果が得られた。この事から、B-beta 鎖N末端相互作用がフィブリン凝集に関与している事が示唆された。
  
成果となる論文・学会発表等 学会発表
1.第28回群馬・栃木地区後援会 桐生 2013/3/7 ”フィブリノゲンおよびフィブリノゲン分解産物とBβ鎖N末端領域の相互作用測定”飯塚よし野,外山 吉治,窪田 健二,行木 信一,落合 正則
2.第36回日本バイオレオロジー学会年会 福岡 2013/6/9 ”高イオン強度下でのフィブリン凝集に対する糖鎖切除効果”窪田健二,外山吉治,行木信一,落合正則
3.日本化学会関東支部群馬地区地域懇談会 高崎 2013/12/4 ”フィブリノゲンクライオゲル形成に与えるイオン強度および尿素添加の影響”
清水政宏,窪田健二,落合正則,外山吉治
4.日本化学会関東支部群馬地区地域懇談会 高崎 2013/12/4 ”フィブリン重合へのB?鎖N 末端領域の添加効果”飯塚よし野, 行木信一, 窪田健二, 落合正則, 外山吉治
5.日本化学会関東支部群馬地区地域懇談会 高崎 2013/12/4 ”N 結合糖鎖とフラグメントD との相互作用測定”木川浩平,窪田健二,行木信一,落合正則,外山吉治