共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

アイスコア試料内部を無菌的に採取する融解装置の開発
新規・継続の別 継続(平成24年度から)
研究代表者/所属 国立極地研究所 新領域融合研究センター
研究代表者/職名 特任助教
研究代表者/氏名 瀬川高弘

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

本山秀明 国立極地研究所 教授

2

的場澄人 北大低温研

3

新堀邦夫 北大低温研

研究目的  氷河や氷床に長年にわたって堆積した雪や氷は,過去の環境情報を封印した,降水と大気のタイムカプセルのようなものである.アイスコア中の遺伝子を解析することで,数十万年の時間スケールでの遺伝的変異を主とした進化学的研究などにつながる先端的な研究が期待できる.しかし,アイスコアは掘削・採取の際に,その外側に掘削に使用する液体や人の手などにより汚染物が付着しておりその汚染を取り除く必要がある.現有の融解装置では土壌粒子が多く混入しているアイスコアに用いることができない事や,高精度な遺伝子解析をおこなうには問題点があるため,無菌的にアイスコア試料内部を採取する融解装置の開発・改良をおこなう.
  
研究内容・成果 従来のアイスコア融解装置では,アイスコア内部を融解し吸引・採取する際に,コア内部が陰圧になり外側のコンタミネーション部分が内部側に微量入り込んでしまう事や,圧力差を解消するために空気を送り込んでもアイスコアの状態によってはコンタミネーションが起きてしまう問題点が明からになった.その結果を踏まえ,アイスコアの外側部分は融解させず,アイスコア内側部分のみを融解・採取させるコンタミネーションが起こりにくい融解装置を考案し融解テストを実地した.比較的生物量が多く含まれているグリーンランド氷床下(沿岸域)の岩盤直上から採取された氷試料に対して,融解装置をデザインし,作成をおこなった.その結果,土壌混じりの氷試料に対して開発した融解装置を用いることで,無菌的に氷試料内部のみの採取に成功した.試料からDNA抽出し,微生物種を推定するためのリボソームRNA遺伝子や各種遺伝子解析をおこなう事に成功した.
  
成果となる論文・学会発表等 瀬川高弘,牛田一成ら(2014)雪氷中のバクテリアが語るもの,雪氷,in press
Takahiro Segawa, Nozomu Takeuchi, et al. Distribution of antibiotic resistance genes in glacier environments. Environmental Microbiology Report. 2013, 5 (1), 127-134