共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

凝固点近傍での水溶液中でのコロイド粒子の挙動と結晶化
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 金沢大学総合メディア基盤センター
研究代表者/職名 教授
研究代表者/氏名 佐藤正英

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

鈴木良尚 徳島大ソシオテクノサイエンス研究部 准教授

2

勝野弘康 名古屋大学工学研究科 中核的研究機関研究員

3

佐崎元 北大低温研 教授

研究目的 コロイドはフォトニック結晶の素材として注目されている。水溶液中でのコロイド粒子は,ブラウン粒子とみなすことができる。凝固点よりも十分高温な水溶液中では,一様な場の中を運動するブラウン粒子とみなすことができる。しかし,凝固点近傍では,粒子の拡散,凝集,結晶化は単なる粘性の増加や,水の中に現れると期待される前駆的な構造の影響を受ける可能性がある。そこで,本研究では,凝固点近傍でのコロイド粒子の結晶化について,理論および実験的に調べ,上記の点を明らかにすることを目的とした。佐藤と勝野は主としてシミュレーションモデルの構築を行い,鈴木と貴研究所の佐崎教授は主として実験を担当した。
  
研究内容・成果 本研究の開始時点は,凝固点近傍での水の中に形成されるのではないかと思われる前駆的な構造も効果に入れ,溶液内に構造が存在する場合のブラウン粒子の結晶化を検討する予定でした。しかし,その前に高粘性化での振舞いについて詳細に調べることが重要であると判断し,分担者の鈴木が行っている遠心沈降下でのコロイド結晶化の実験について高粘性であることを考慮した計算機シミュレーションと行い,実験との比較をすることとした。
シミュレーションにより,壁面での2次元的な秩序化が第一段階として起こり,第2段階として壁面にできた2次元的な構造を下地として結晶が成長することが分かった。また,遠心沈降のための外力の方向が壁面となす角により,成長界面の構造が異なる。このことが,成長時の構造に大きな影響を与え,欠陥の制御につながることも明らかになった。特に,外力が壁面に対して傾いている場合のシミュレーション結果は実験結果と定性的に一致し,実験結果の説明のための鈴木らの成長機構に関する提案を裏付けるものであった。これらの結果に関して,国際会議で2件の発表を行った。また関連した論文は3編の論文を投稿し,2編はすでに出版済み,また1件については現在印刷中である。
  
成果となる論文・学会発表等 The 17th International Conference on Crystal Growth (Warsaw, Poland, 2013 11/-16),Crystallization and annealing of colloidal crystals under gravitational fields (oral), Yoshihisa Suzuki,et al.

The 17th International Conference on Crystal Growth (Warsaw, Poland, 2013 11/-16),Ordering of Brownian Particles from Walls Due to an External Force (oral),Masahide Sato,et al.

Crystallization and annealing of colloidal crystals under gravitational fields, Yoshihisa Suzuki, Atsushi Mori, Masahide Sato, and Hiroyasu Katsuno, J. Cryst. Growth, in press

Crystallization of Brownian Particles from Walls Induced by a Uniform External Force, Masahide Sato, Hiroyasu Katsuno, Yoshihisa Suzuki, J. Phys. Soc. Jpn., Vol.82, No.8, (2013) p.084804

Formation of a crystal of Brownian particles under a uniform external force, Masahide Sato, Hiroyasu Katsuno, Yoshihisa Suzuki, Phys. Rev. E, vol.87, No.3 (2013) 032403.