共同研究報告書
研究区分 | 研究集会 |
研究課題 |
雪氷の生態学(7)-低温環境下における生物群集の活動- |
新規・継続の別 | 継続(平成17年度から) |
研究代表者/所属 | 国立環境研究所 |
研究代表者/職名 | 室長 |
研究代表者/氏名 | 野原精一 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
大高明史 | 弘前大学 | 教授 |
2 |
中村剛之 | 弘前大学 | 教授 |
3 |
福原晴夫 | 新潟大学 | 元教授 |
4 |
山本鎔子 | 明治大学 | 元教授 |
5 |
落合正宏 | 徳島文理大学 | 元教授 |
6 |
千賀有希子 | 東邦大学 | 講師 |
7 |
藤原英史 | ドキュメンタリーチャンネル | 代表 |
8 |
鳥居高明 | いであ株式会社 | 研究員 |
9 |
福井学 | 北大低温研 | |
10 |
小島久弥 | 北大低温研 | |
11 |
久保響子 | 北大低温研 | |
12 |
木村直哉 | 青森県弘前市 |
研究集会開催期間 | 平成 24 年 12 月 7 日 〜 平成 24 年 12 月 8 日 |
研究目的 | メタンの生成と動態、陸水域における鉄の循環、尾瀬地域における雪氷の色彩分析、アカシボの微生物多様性、アカシボ粒子の正体、東北のアカシボの発生状況、アカシボ現象の総括など、雪氷研究者や陸水化学者とアカシボ生物群集研究者との討論集会を行い、「寒冷域湿地生態系の生物群集の多様性と機能」についてさらに解明を進める。 |
研究内容・成果 | 融雪期に雪や氷の表面が赤、黄、時に黒く着色する現象は一般に彩雪現象と言われ、古くから日本を含む世界の積雪地域から知られてきた。彩雪の原因として、Clamy domonusなどの緑藻類があげられているが、細菌類やミミズ類、水生昆虫などの多様な生物も含み、独特の生態系であることが氷河に発生するアカユキで明らかになってきた。最近では彩雪によって融雪が早まる温暖化影響が極地で注目されている. 尾瀬ヶ原・尾瀬沼でもアカユキの一種であるアカシボ現象が知られ、このアカシボ雪中にはこれまで知られていない藻類Hemitomaや最近、ミミズ類、ユスリカ幼虫など多様な生物群集を含み、複雑な系をなすことが一昨年の本集会で明らかになった。特に分子生態学的手法や情報学的手法を用いた解析では、アカシボ微生物群集の主要なメンバーは氷河等の他の低温環境と共通することが示された。 しかし、融雪時における融雪水の挙動や外部から流入する融雪水の積雪内の移動などが、アカシボの発生と密接にかかわると予想されるものの、依然として、融雪とアカシボ発生メカニズムについては未解明である。 そこで本集会では、メタンの生成と動態、陸水域における鉄の循環、尾瀬地域における雪氷の色彩分析、アカシボの微生物多様性、アカシボ粒子の正体、東北のアカシボの発生状況、アカシボ現象の総括など、雪氷研究者や陸水化学者とアカシボ生物群集研究者との討論集会を行い、「寒冷域湿地生態系の生物群集の多様性と機能」についてさらに解明を進めるものである。 本集会により、黄砂などの越境大気汚染物質の影響の有無、融雪期の雪氷構造とアカシボ生物群集の相互関係の解明が期待され、雪氷の生態学の発展に寄与できること、生物群集については、新たな生物種の発見・記載が期待され、また低温環境への適応問題、地球温暖化影響などの課題についても将来発展させうることなどの成果が期待される。研究発表の演題は以下の通りである。 趣旨説明(代表者:国立環境研・野原精一) 藤原英史(ドキュメンタリーチャンネル) 「アカシボのタイムラプス撮影映像および顕微鏡撮影映像」 「ガガンボの飛翔のハイスピード映像」 千賀有希子(東邦大) 「釧路湿原土壌における微生物活性」 野原精一(国立環境研) 「尾瀬の厳冬期アカシボ現象と地質構造」 久保響子・小島久弥・福井 学(北大・低温研) 「アカシボのFISH観察」(仮) 大高明史・菊池智子(弘前大・教育) 「八甲田山の湿原におけるアカシボ構成物の観察」 中村剛之(弘前大・白神自然研) 「尾瀬ケ原のガガンボ類 今年の調査結果から」 木村直哉(弘前)・鳥居高明(いであ)・中村剛之・大高明史 「尾瀬アカシボ調査で得られた動物標本の扱いについて」 総合討論および今後研究方針 |
研究集会参加人数 | 12 人 |