共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

石油炭化水素の嫌気的微生物分解に関する研究
新規・継続の別 継続(平成21年度から)
研究代表者/所属 産業技術総合研究所エネルギー技術研究部門
研究代表者/職名 グループ長
研究代表者/氏名 鷹觜利公

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

佐藤信也 産業技術総合研究所エネルギー技術研究部門 主任研究員

2

福井学 北大低温研

研究目的 北海やサハリン沖油田等からの海底石油採掘の過程で流出原油の生態系汚染は避けられない。流出原油に含まれている炭化水素は、生物には有害であり、しかも、難分解性である。海底は、低温かつ貧酸素条件であるため、流出原油の微生物分解性に関する理解は進んでいない。そこで、本研究では、低温環境下での石油炭化水素の嫌気的微生物分解性を明らかにすることを目的とする
  
研究内容・成果 本研究では、海底での流出原油の嫌気的微生物分解特性を明らかにするため、石油を含む完全合成培地に海底泥を接種し、低温条件下で集積培養を確立すること、集積培養の過程で分解された炭化水素成分を特定すること、特定した炭化水素を効率的に分解できる嫌気微生物の集積及び単離を行うこと、その代謝の特性を明らかにすることが具体的目標である。
 微生物学的硫酸還元条件下において原油成分であるトルエン、パラキシレンおよびシクロヘキサンの嫌気的分解過程では硫化水素の発生が確認されたことから、硫酸還元菌の存在が分かっていたが、2012年度はトルエンおよびパラキシレンを単独で基質として用いた場合でも優占先される硫酸還元菌が同一のものであることが分かった。この菌を用いたヘプタメチルノナンのみの基質での培養でも濁度の上昇、硫化水素の生成が見られることから、ヘプタメチルノナンが利用されたものか、含まれる不純物によるものかが明確にはならなかった。
 今後、この菌の能力と代謝経路の推定のため、シクロヘキサン、パラキシレンおよびヘプタメチルノナンを唯一の基質とする系での培養で発生する硫化水素の定量を行い、代謝経路を確定する。
  
成果となる論文・学会発表等