共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

山岳地域における降雪-積雪-融雪過程の雪氷化学的研究
新規・継続の別 継続(平成22年度から)
研究代表者/所属 信州大学理学部
研究代表者/職名 教授
研究代表者/氏名 鈴木啓助

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

石井吉之 北大低温研

研究目的 山岳地域は、温暖化や酸性降水などの地球環境変動に対して極めて敏感に反応すると考えられる。山岳地域における水循環および物質循環に対して、それら地球規模の環境変動が、如何に影響するのかを解明することが本研究の目的である。まず、山岳地域の水および化学物質の循環過程を解析し、それらへの地球環境変動の及ぼす影響を解明する。
 山岳地域に冬期間に積雪として大量の水が天然のダムとなって蓄えられ、暖候期に融けて流下することにより、山岳地域の雪は、水資源としてや植物の生育環境にとっても重要な役割を果たす。地球環境変動によって山岳地域の雪の質や量がどのような影響を受けるのかを議論することが必要である。 
  
研究内容・成果  中部山岳地域において降雪直後の新雪を採取分析した結果、次のことが明らかとなった。
 降雪中の電導度が増加するとpHは低下する。また、降雪中のpHの値は、酸性化指標の値によってほぼ決定されることが明らかとなった。さらに、降雪中のNa+濃度は、Cl-とMg2+濃度との相関がきわめて良好で、海塩起源の濃度比とほぼ一致する。陰イオン中のCl-濃度の割合は日本海に近い地点で大きく、内陸では小さくなる。NO3-/nssSO42-の比は、中部山岳地域の南部で大きな値を示す。
  
成果となる論文・学会発表等 Suzuki, K., Yokoyama, K. and Ichiyanagi, H. (2012): Chemical survey of the snowpack in central Japan. Bulletin of Glaciological Research, 30, 25-32.
鈴木啓助(2012):山岳地域における雪氷水文学的研究と気象観測問題.日本水文科学会誌、42、109-118.