共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

ドームふじ天体観測システムの開発
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 東北大学大学院理学研究科
研究代表者/職名 助手
研究代表者/氏名 沖田博文

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

研究目的 南極大陸内陸高原に位置するドームふじ基地は高い標高(3810m)と冬期の低い気温(-80度)によって大気中に含まれる水蒸気量が地球上で最も少ない場所の1つと考えられる。そのため水蒸気の影響(大気揺らぎによる星像劣化、大気吸収による観測可能な波長の制限)が地球上で最も小さいと考えられる。しかしドームふじ基地の極低温環境は望遠鏡の動作を困難にする。気温変化から生じる光学系や機械動作部のたわみ・結露・ダイヤモンドダストの付着等が考えられる。これらの問題を解決するため、できる限り低い温度を再現し望遠鏡を開発する必要があると考え、北大低温研での冷却実験を計画した。
  
研究内容・成果 東北大学で南極仕様に改造した望遠鏡を-50度の環境で動作させ問題が無いか確認した。2012年9月23日〜9月26日に実験を実施した。実験では香内晃教授及び新堀邦夫様に立ち会って頂き、的確なコメントと技術的な指導をいただいた。低温保存室を-50度設定とし実験を行った。望遠鏡観測システム全体を冷凍室に入れ、天体観測を模した動作を実行し問題点の有無を調べた。実験の結果、望遠鏡の向きを大きく変更する時にウォームホイルとウォームギヤのバックラッシュ調整機構が-50℃では正しく動作せず、回転がストップしてしまうことが判明した。そこでウォームギヤ押さえの可動部にシムを取り付けて動作範囲を制限することで正しく動作する事を確認した。また制御PCの保温が不十分であり低温で停止することがあった。制御装置を密閉出来る発泡スチロール箱に入れることで、外気温-50度でも内部を10度以上に保ち正常に動作できるよう対策した。他にも細かい問題点があったが最終的に全ての問題を解決し、ドームふじ天体観測システムが完成した。その後完成した望遠鏡を南極大陸内陸高原ドームふじ基地に輸送し、2013年1月1日〜23日の期間にシーイング(大気揺らぎ)の観測のために使用した。この観測において望遠鏡は全く問題無く動作した。よって本研究課題の目的は達成された。
  
成果となる論文・学会発表等