共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
雪の衛星リモートセンシング手法の開発のための観測的研究 |
新規・継続の別 | 新規 |
研究代表者/所属 | 名古屋大学地球水循環研究センター |
研究代表者/職名 | センター長・教授 |
研究代表者/氏名 | 中村健治 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
西川将典 | 名古屋大学地球水循環研究センター | 研究員 |
2 |
民田晴也 | 名古屋大学地球水循環研究センター | 技術専門職員 |
3 |
花土弘 | 情報通信研究機構沖縄電磁波技術センター | センター長 |
4 |
中川勝広 | 情報通信研究機構電磁波計測研究所 | 主任研究員 |
5 |
小町健一 | JAXA地球観測研究センター | 開発員 |
6 |
藤吉康志 | 北大低温研 |
研究目的 | 雪は寒冷地の降水の重要部分である。液体の降水粒子はほぼ球形であり、またその電気的特性も温度による依存性などはあるもののほぼ分かっているといってよいが、降雪粒子は様々な形状をもち、また密度も異なる。さらに乾雪、湿雪で電気的特性も大きく異なる。これらから電波を用いた降雪観測は降雨観測に比べて大きく劣っている。この限界を克服するために、衛星側では周波数を増やすことや、マイクロ波放射計の情報を加味することが考えられている。このような状況のもとで、地上での降水観測を行い、様々な降雪粒子のレーダ散乱断面積の測定を、レーダや地上測器系により観測する。また同時に形状からの理論計算を行い、その特性を把握する。 |
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研究内容・成果 | Kaレーダによる札幌観測における集中観測期間(IOP)をIOP1が2013年1月7日から1月25日の19日間、IOP2が2013年2月12日から2月28日の17日間、IOP3が2013年3月18日から3月29日の12日間に行った。この期間中、Kaレーダによる対向観測を行った。実施期間は、天候が変わりやすかったり、降雪があっても時間と量が不十分であったりしたが、全IOP期間を通して降雪観測データを取得することができた。 中間地点の札幌市立日新小学校校庭に設置した地上降水観測システムおよび北海道大学低温科学研究所に設置した積雪深計、積雪重量計、パーシベル(レーザ方式現在天気計、光学式ディストロメータとも。光を用いて降水粒子の粒径・落下速度分布を測定する装置。時間分解能がよく、測定した粒径分布から降水強度を求める)、2次元ビデオディスドロメータ(2DVD)は通年でデータを取得している。また、湿雪が期待される場合は低温研所有の含水率計で雪片の含水率計測も行った。 解析については、Kaレーダ間に一様な降雪がみられるイベントについて、優先的に進めている(名古屋大学:中村教授、西川氏)。得られたk-Ze関係では、乾雪は k、Zeとも小さかった。KaPRの高感度観測モードの感度が12dBZ、KuPR/KaPRの2周波観測モードの感度が18dBZであることから、このプロット点のうち 半分以上がKaPRで計測可能と言える。湿雪の事例についても解析を進めた。乾雪や雪と比べて湿雪が大きなkをもつことが定性的には確かめられたが、レーダのバイアスの影響などが除き切れていないと考えられ定量的な評価には検討が必要な結果となっている。 IOP3期間中、地上気温が上がり降雨が期待される日には鉛直-斜め観測をおこない融解層の減衰量を測定した。期間中、気象条件が整い明確な融解層が出現したのは3月18日〜19日のみであった。94GHzやライダーの観測から、融解層(ブライドバンド)の上にレーダ反射因子の小さいダークバンドと呼ばれる薄い層が存在することが分かっていたが、Xバンドレーダなどでは観測されていなかった。3月18日の事例ではKa帯でこのダークバンドを捉えており、気象学的にも興味深い結果となった。 |
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成果となる論文・学会発表等 | (当該年度の共同研究に直接関わる発表は未だ無い。) |