共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

比較プロテオーム解析に基づく根粒細菌の環境適応機構の解明
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 東北大学大学院生命科学研究科
研究代表者/職名 准教授
研究代表者/氏名 三井久幸

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

笠原康裕 北大低温研

研究目的 生物の地球環境への適応機構は遺伝子の発現制御の問題に帰着するが、その様相は単純でない。遺伝子発現のメジャーな制御段階は転写開始過程にあるが、同時にmRNAの翻訳やタンパク質のターンオーバーのレベルでの制御が鍵を握る生命現象も広く知られつつある。結果、ゲノムレベルでの遺伝子機能の解析手段としてのプロテオーム解析は、生物の環境適応機構の解明において決定的な意味を持つことになる。本研究では、根粒細菌を材料に、温度ストレスへの適応およびマメ科植物との相互作用を環境適応のモデル系と位置付け、プロテオーム解析を通じて環境適応の鍵となる遺伝子を同定することを目的とする。
  
研究内容・成果 根粒菌のシグマ因子RpoH1/RpoH2は温度ストレスに伴う遺伝子発現誘導に関与することが知られている。そこで温度ストレス適応機構の解析としては、熱ショック処理を施した野生株およびrpoH1 rpoH2二重変異株それぞれの細胞の間で比較プロテオーム解析を行い、野生株でのみ発現上昇するタンパク質種の網羅的同定を試みた。また、RpoH1レギュロンに属し、かつ新規に同定されたマメ科植物との相互作用に必須な役割をもつ機能未知遺伝子について、その変異株と野生株との間でも比較プロテオーム解析を行い、その機能欠損によって細胞内で不安定化するようなタンパク質種の網羅的同定を試みた。プロテオーム解析は、貴研究所で確立されてきた手法に基づき、細胞から抽出した全タンパク質をSDS-PAGEにより分画し、それぞれをLC-MS/MSに供した。
本研究の対象とする根粒菌の温度ストレス適応および植物との相互作用は、地球上で微生物が遭遇する環境変化の主要部分のモデルと位置付けられる。
現在のところ分析は成功裏に進んでおり、その完了のあかつきには、広く微生物一般に見られる環境適応へと普遍化され得る成果となると期待される。
  
成果となる論文・学会発表等