共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
火星環境下における水氷中のメタン拡散速度 |
新規・継続の別 | 新規 |
研究代表者/所属 | 千葉工業大学惑星探査研究センター |
研究代表者/職名 | 研究員 |
研究代表者/氏名 | 石丸亮 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
大野宗祐 | 千葉工業大学惑星探査研究センター | 上席研究員 |
2 |
古川義純 | 北大低温研 |
研究目的 | 本研究では,火星環境下における水氷中のメタンの拡散速度を実験的に測定することを目的とする.この実験データを用いて,メタンが火星の凍土下から拡散し大気に放出するプロセスを定量的に議論し,実際に観測されている火星大気中のメタンの挙動を明らかにする. |
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研究内容・成果 | 火星大気中にメタンが存在していることが火星探査機観測及び地上望遠鏡観測から報告されている.火星のメタンの生成プロセスとして,地下の帯水層での生命活動または蛇紋岩化作用と呼ばれる地質活動が提唱されており,火星のメタンは生命活動や地質活動の有無,大気の起源を理解するための最重要課題の一つとされている. ここで,火星の地表付近に凍土層があることが火星探査機観測により示唆されている.この場合,地中深くの帯水層で生成されたメタンが上方に拡散し大気に至るためには,必ず凍土層を通過する必要がある.凍土中をメタンが拡散する際には,土壌の空隙を埋める水氷中を拡散すると考えられる.そのため,結果として,水氷中のメタンの拡散速度がメタンの放出プロセス(放出のタイミングや放出量など)を支配するといえる.しかしながら,そもそも氷中のメタンの拡散速度が求められていないという問題がある. そこで,本研究では,火星の低温環境を模擬する実験装置を開発し,火星環境下での水氷中のメタンの拡散速度を実験的に求めることを目的とする.実験方法としては,水氷中のヘリウムの拡散実験を既に成功しているSato et al. (1996)の方法を踏襲する.良質な水氷試料を作成できるかどうかが実験の成否を左右するため,氷作成に多くの実績・経験を有する古川教授の実験室(低温室)において氷作成の練習を行った.水氷へのメタンの溶解・拡散の実験を現実的なタイムスケール(<1日)で行うためには,可能な限り薄い氷を作成する必要があるが,最終的には厚さ数ミリメートルの氷試料を成型することができた. 加えて,この氷試料のサイズに合わせた反応セルの設計・製作と,実験に必要な冷凍庫,配管系の購入など,実験のための準備を進めている.次年度以降に,拡散実験を行う予定である. |
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成果となる論文・学会発表等 |