共同研究報告書
研究区分 | 萌芽研究 |
研究課題 |
ドームふじコアを用いた新しい古環境復元法 |
新規・継続の別 | 萌芽(3年目/全3年) |
研究代表者/所属 | 北大低温研 |
研究代表者/職名 | 助教 |
研究代表者/氏名 | 飯塚芳徳 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
本山秀明 | 極地研 | 教授 |
2 |
鈴木利孝 | 山形大学 | 教授 |
3 |
大野浩 | 極地研 | 助教 |
4 |
植竹淳 | 極地研 | PD |
研究目的 | この課題はドームふじ氷床コアを用いた古環境復元研究の高度化・効率的推進を目的として、研究者間の連携をはかり、効率的な成果創出を作る環境を創出する。具体的には、低温研が得意としてきたアイスコアの物理化学研究に特化し、同研究を推進するための議論、研究懇談会の場を創出するため国内外の研究者を招へいし、研究交流を促進させる。本萌芽研究前に推進されていた極地研究所との大学間連携事業(アイスコア)の後続課題として、低温研におけるアイスコア研究事業のうち、研究者らが研究を効率的に進めるための課題にのみ特化した事業を展開する。 |
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研究内容・成果 | 課題期間3年間において、3回のドームふじ氷床コアに関する研究発表会を低温研で実施し、同コアを用いた古環境復元研究の高度化・効率的推進に寄与した。延べ50人以上にわたるドームふじ氷床コアに関連した研究者が低温研を訪問し、低温研の同コアプロジェクトへの貢献をアピールするとともに、研究者間の研究推進に良い刺激を与えた。 研究面においては、低温研が開発した世界的にも独創的な氷昇華装置をもちいて、過去の水溶性エアロゾル塩の組成を分析する手法を確立し、過去30万年間の硫酸塩エアロゾルの時系列変化というユニークでかつ古気候変動研究に有意義なデータを創出した。本萌芽研究のもと共著者間による熱心な議論が行われ、その議論をまとめるという形で論文を公表した。この論文はNatureに受理され、世界のアイスコア研究に対して低温研が誇れる研究成果の一つとなった。 今後、低温室に保存しているアイスコアの管理や極地研究所との連携体制を維持する予算の獲得が要求されている。本萌芽研究で得られた成果を踏まえつつ、大学間連携事業、低温研萌芽研究に続く次のプロジェクトを展開し、ドームふじ氷床コアを用いた古環境復元研究の高度化・効率的推進を継続していく。 |
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成果となる論文・学会発表等 |
Iizuka, Y., Uemura, R., Motoyama, H., Suzuki, T., Miyake, T., Hirabayashi, M., and Hondoh, T.: Sulphate-climate coupling over the past 300,000 years in inland antarctica, Nature, 490, 81-84, 10.1038/nature11359 Iizuka, Y., A. Tsuchimoto, Y. Hoshina, T. Sakurai, M. Hansson, T. Karlin, K. Fujita, F. Nakazawa, H. Motoyama, and S. Fujita (2012), The rates of sea salt sulfatization in the atmosphere and surface snow of inland Antarctica, J. Geophys. Res., 117, D04308, doi:10.1029/2011JD016378. Toshimitsu SAKURAI, Hiroshi OHNO, Shinichiro HORIKAWA, Yoshinori IIZUKA, Tsutomu UCHIDA, Kazuomi HIRAKAWA, Takeo HONDOH: The chemical forms of water-soluble microparticles preserved in the Antarctic ice sheet during Termination I., J. Glaciol. 57(206), 1027–1032, 2011 |