共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

極域質量収支把握のための衛星データを用いた基礎情報の収集と評価
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 (財)リモートセンシング技術センター
研究代表者/職名 副主任研究員
研究代表者/氏名 山之口勤

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

土井浩一郎 国立極地研究所 准教授

2

中村和樹 産業技術総合研究所 特別研究員

3

青木茂 北大低温研

4

杉山慎 北大低温研

研究目的 南極大陸縁辺部における氷床変動は近年の温暖化に伴い激しさを増しているといわれている。また定着氷の変動は氷河・棚氷末端部の安定性を大きく左右する。従来こうした研究を汎南極大陸的なレベルで観測・解析するには、マイクロ波放射計や光学画像の利用が主であった。しかし近年、合成開口レーダ(SAR)によるこれらの把握技術が進展しつつある。SARは高い空間分解能をもつため、より精確な、より局所的な解析の可能性が期待できる。
こうした状況を鑑み本研究では、SARデータを主に用い、南極大陸縁辺部における氷床・定着氷域の時系列変動を捕らえ、それを通じた氷床-海氷-海洋間の水循環・質量変動の把握を目的とする。
  
研究内容・成果 今年度は、以下の3つの点について研究活動を行った:
1)ICESat/GLAS高度計データの解析
⇒複数点のGLASの値と昭和基地の潮汐の比較を行い、調和的なものかどうかについて調査中。また、2012年では棚氷上に積雪が多く存在する場合もあるので、それらの切り分けが必要である。また、ECMWFの積雪量やAMSR-Eの積雪深についても調査し、GLAS計測値についてさらに精査する必要がある。

2)Grounding Lineの比較
⇒UCIrvine/NSIDC及びUSGS/ASAIDによるgrounding lineデータと我々が作成したgrounding lineデータの比較作業を行った。その結果を以下にまとめる:
・精度的には大差はない
・ASAIDは衛星光学センサのため、取れていない部分がある分、我々のプロダクトのほうが優れている
・Grounding Lineデータをランク付けして我々のほうは示しているため、精度面での信頼度はある
・NSIDCのデータとも大差はないが、そのカバー範囲において我々ができない部分がある
・上記比較の結論として、我々のgrounding lineデータは精度的に研究に十分耐えうるものと判断できる。論文化を進める

3)InSARによる流速比較
⇒TerraSAR-XによるInSAR処理は成功。今後は、PRISM DEMもしくはASTER DEMによるDInSAR処理を継続して行う。また、PALSARによるDInSAR結果との比較も実施する

4)次年度へ向けた積み残し作業
時系列データセット整備を続ける。以下のターゲットエリア
・リュッツオホルム湾のALOS打ち上げ前期間のENVISATデータの利用
・Mertz氷河の時系列データセット
・Lambert氷河のInSAR向けデータ収集

  
成果となる論文・学会発表等