共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
フィブリノゲンクライオゲル形成機構の解明 |
新規・継続の別 | 新規 |
研究代表者/所属 | 群馬大学 |
研究代表者/職名 | 准教授 |
研究代表者/氏名 | 外山吉治 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
石橋由佳 | 群馬大学大学院 | 博士課程前期 |
2 |
宮本和樹 | 群馬大学大学院 | 博士課程前期 |
3 |
落合正則 | 北大低温研 |
研究目的 | 血液凝固の主要因子であるフィブリノゲンは、通常トロンビン作用を受けて、フィブリンへと転化することによりゲル化(フィブリンゲル)する。一方、フィブリノゲン水溶液を4℃以下の低温下に曝すと、トロンビン作用を受けることなくゲル(クライオゲル)を形成する。クライオゲルに関する研究は殆どなく、その機構に至っては全く解明されていない。分子レベルでクライオゲル形成過程を測定することにより、そのメカニズムの解明を目指す。本実験では、プラスミン処理によって得られるフィブリノゲン分解産物の一つであるフラグメントDの添加効果をクライオゲルとフィブリンゲルで比較した。 |
研究内容・成果 | 1)フラグメントDの作製 フィブリノゲンにプラスミンを作用させ25℃で16時間インキュベートし、ゲル濾過クロマトグラフィーによりフラグメントDの分画を分取した。さらに、硫安沈殿と溶解を繰り返すことにより精製濃縮を行い、分子量約100kDaのフラブメントDを精製した。 2)フィブリンゲル形成へのフラグメントDの添加効果 図1にフィブリノゲンにフラグメントDをモル比で1:5の割合で添加したときのフィブリンゲル形成に伴う濁度の経時変化を示す。測定は25℃でトロンビン添加後、波長500nmで3時間行った。フラグメントDを添加の添加効果は殆ど認められなかった。。 3)クライオゲル形成へのフラグメントDの添加効果 図2にフィブリノゲンにフラグメントDをモル比で1:5の割合で添加したときのクライオゲル形成に伴う濁度の経時変化を示す。測定は温度を2℃にクエンチ後、波長500nmで3時間行った。フラグメントDの添加により、濁度の上昇が著しく抑制された。 以上のことから、クライオゲル形成にはフィブリノゲン分子間のD-D相互作用が大きき寄与していることが示唆された。 |
成果となる論文・学会発表等 |
論文発表 1) Y. Yatagai, K. Kubota, Y. Toyama, N. Nameki, M. Ochiai, Effect of Plasmin Treatment on the Fibrin Gel Formation, Trans. MRS-J., 36, 371-374 (2011). 2) K. Kubota, Y. Yatagai, N. Watanabe, T. Fukuda, Y. Toyam, N. Nameki, M. Ochiai, Mixing Effect of Deglycosylated Fibrinogen on the Fibrin Polymerization, Trans. MRS-J., 36, 375-378 (2011). 3) Y. Toyama, K. Miyamoto, K. Kubota, K. Wakamatsu, N. Nameki, T. Saheki, M. Ochiai, Additive Effects of Betaines on the Fibrinogen Cryogelation Induced by Low Temperature, Trans. MRS-J., 36, 393-396 (2011). 学会発表 第60回高分子年次大会、第21回日本MRS学術シンポジウムで6件 |