共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

分散水の凍結に伴う微粒子の濃縮・凝集・コロイド結晶化
新規・継続の別 継続(平成22年度から)
研究代表者/所属 徳島大院STS研究部
研究代表者/職名 准教授
研究代表者/氏名 鈴木良尚

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

橋本華織 徳島大院先端技術 大学院生

2

佐崎元 北大低温研

研究目的 微粒子の集合体は、その濃縮等で実現されるコロイド結晶化によるフォトニック結晶としての利用など、近年注目を集めている。しかし、格子欠陥の制御など課題も多い。本研究では、粒子分散状態の制御を分散水の凍結過程の制御により行うことを目的とした。
氷結晶とコロイド結晶  
研究内容・成果 23年度の共同研究により、以下のことを明らかにした。
(1)粒子分散液の低速度の一方向凝固により、セル成長をするが、比較的平滑な氷の成長界面を実現した。
(2)その前進による界面での粒子分散液の濃縮およびコロイド結晶化を、透過明視野および反射明視野観察により明らかにした。

これらの成果は、第41回結晶成長学会(つくば)で発表した。
以下に詳細を示す。

(1)について:
粒径200 nmのポリスチレンの粒子分散液(体積分率0.1)をセル内部空間の厚みは0.090 mmのスライドガラス製の結晶化セルに注入し、一方向凝固システムにおける低温側の温度TL = -5.0°C, 高温側の温度TH = 5.0°Cの10 mmの温度分布中で実験を行った。セルの移動速度は0.01 μms^-1で行った。
その結果、セル成長はするものの、平滑な氷成長界面を得ることができた。

(2)について:
透過明視野の顕微鏡観察により氷結晶の構造を詳細に観察でき、反射明視野の顕微鏡観察により、氷界面のさらに前方に柱状のコロイド結晶のコントラストを観察できた。両方を同時に行うと、氷の成長界面とその沖合のコロイド結晶がはっきり見ることができた。
加えて、コロイド結晶は、氷結晶の下部に入り込んでいる様子が明らかになった。これは氷が成長する際潜熱を放出するが、4℃までの間は水の方が密度が大きいことから、氷成長界面の前方の温度の高い水が氷の下に入り込むことによるのではないかということが考えられる。

また、徳島大学で、一方向凝固システムを立ち上げ、実験を開始した。最終的に氷の成長界面が容器の端まで到達することを観察できるように工夫したセルを開発した。現在そのシステムを使用してデータ収集中である。
氷結晶とコロイド結晶  
成果となる論文・学会発表等 論文

T. Fujiwara, Y. Suzuki, G. Sazaki, S. Yanagiya, K. Tamura
Effects of high pressure on the step velocity on the {110} faces of tetragonal lysozyme crystals
World Journal of Engineering 8(4), 307-312, 2011.

学会発表

藤原 貴久, 鈴木 良尚, 佐崎 元, 柳谷 伸一郎, 田村 勝弘 : ニワトリ卵白リゾチーム正方晶系結晶の{110}面上のステップ前進速度に及ぼす圧力効果, 第41回結晶成長国内会議, 2011年11月.

鈴木 良尚 : 遠心場でのコロイド結晶成長, 第41回結晶成長国内会議, 2011年11月.