共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

複数の色素サイクルによる樹木の環境適応について
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 長岡工業高等専門学校
研究代表者/職名 准教授
研究代表者/氏名 柴田勝

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

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田中亮一 北大低温研

研究目的 植物色素は光合成の初期過程で光吸収やその制御、光阻害から植物を守る働きをもつことから、色素変換反応は、樹木の生育などに十分に影響する可能性がある。しかし、これらの色素変換反応の樹種間差や環境適応能力の違いについてなど不明な点が多数残っている。
本研究では、複数の色素変換反応の相互依存性、樹種間差を明らかにすることを目的として、北方系を中心とした樹木を対象として高速液体クロマトグラフィーによる色素分析とクロロフィル蛍光による光合成の解析を行った。
  
研究内容・成果 樹木葉では、様々色素類が相互に関連し合うことで複数の色素サイクルが示唆されてきた。このために樹木が持つ複数の色素サイクルの相互依存性などを調べるために樹種間の分布、光による色素変化の観点から実験を行った。
 対象樹木として北海道大学の植物園や新潟県長岡市で採取した当年枝の葉(草本植物は当年葉)を測定対象とした。北大植物園(9月)および環境条件が異なる長岡市の東部・西部地域(10月)にて採取を行った。色素組成の分布を調べると共に光による組成変化のレスポンスを測定するために葉に暗処理、光飽和処理を行い、色素分析を高速液体クロ的グラフフィーにより行った。また、サンプルとして針葉樹を中心とした北大植物園(43腫),長岡市西部(42種類),長岡市東部(43種類)の128樹種(草本植物28本を含む)を用いた。
 強光照射による色素変化としてのviolaxanthin cycleやluteinepoxide cycleが色素プール量または樹種の特異性に依存するのかについて調べた。その結果、violaxanthin cycleはそのプール量に比例し、photocoverse Vioとnonphotoconverse Vioとの比に大きな違いはなかった。しかし、luteinepoxide cyclはプール量ではなく他の因子に大きく依存していた。草本植物とは異なり、樹木では複数の色素サイクルが機能するが、これらの色素サイクル間の相互依存性や樹種間差が樹木の環境耐性にどのように関わっているのかは不明である。このために、Violaxanthinとluteinとの相互置換による色素反応、violaxanthin cycle、luteinepoxide cycleがどのように関連しているのかを調べるために、各色素サイクル間の相関の樹種間分布について解析を行っている。現在、データの解析中である。
  
成果となる論文・学会発表等