共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

結晶成長時の界面パターンへの溶液の流れと不純物効果
新規・継続の別 継続(平成22年度から)
研究代表者/所属 金沢大学総合メディア基盤センター
研究代表者/職名 教授
研究代表者/氏名 佐藤正英

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

勝野弘康 学習院大学計算機センター 助教

2

佐崎元 北大低温研 准教授

研究目的 ある種のたんぱく質を含む水が凝固する際に,たんぱく質が不純物の役割をして,界面の形態を変える。このように,結晶成長時の界面の形態に不純物が影響を与えることはよく知られているが,実際に,不純物が成長界面でどのような振る舞いをするかについては自明ではない。
平成22年度における共同研究では固定された不純物により臨界核半径がどのように変化するか示す式を熱力学的な立場から導出した。本年度については,モンテカルロ法を用いて,臨界核がどのように不純物とともに変化するかを調べ,熱力学的に導出した表式との相違点を調べる。また,これらを用いて,氷を主とした実験結果を考察する。
  
研究内容・成果 近年,佐崎らがリゾチーム単斜晶系結晶のステップ速度について観察し,ステップの前進速度のステップ間隔に対する依存性を調べた。この際に,らせん成長丘でのステップ間隔が表面エネルギーから予想されるステップ間隔に比べて50倍程度も広くなっていた。
これについて,平成22年度では,単純のために,これまでに良く調べられている不純物と同様な不純物を想定し,不純物によって熱力学的な臨界半径がどのように変化するのかを,不純物によるエネルギー変化から理論的に導出した。
平成23年度では,この計算の妥当性を検証するためにモンテカルロ・シミュレーションを行った。孤立した2次元島の安定性を調べることにより,臨界核半径の不純物依存性が,理論から推測される傾向と一致することが分かった。
理論的に予想される臨界核の変化およびモンテカルロシミレーションの結果を論文にまとめてPhys. Rev. E誌に発表した。
また,動的挙動への不純物の効果を調べるためにモンテカルロシミレーションを行い,微斜面に付いた不純物によるステップ束の形成を調べた。成長時のテラスの揺らぎ幅の成長のべきが,不純物の濃度により徐々に小さくなることが分かった。これについても論文にまとめてPhys. Rev. E誌に発表した。
  
成果となる論文・学会発表等 Masahide Sato,Phys. Rev. E, vol. 84 (2011) 061604 (7pages)
Hiroyasu Katsuno, Kiiko Katsuno, and Masahide Sato,Phys. Rev. E, vol. 84 (2011) 021605 (5 pages)
Masahide Sato,
J. Phys. Soc. Jpn., Vol. 80 (2011) p.0704604 (6pages)
Masashi Inaba and Masahide Sato,
J. Phys. Soc. Jpn., Vol. 80 (2011) p.0704606 (4pages)