共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

南北両極域における海洋・海氷の現場観測研究
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 海洋研究開発機構 地球環境変動領域
研究代表者/職名 技術研究副主任
研究代表者/氏名 伊東素代

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

北出裕二郎 東京海洋大 海洋科学部 准教授

2

平野大輔 東京海洋大学 海洋科学部海洋環境学科 博士研究員

3

菊地隆 海洋研究開発機構 地球環境変動領域 チームリーダー

4

川口悠介 海洋研究開発機構 地球環境変動領域 ポスドク研究員

5

渡邊修一 海洋研究開発機構 むつ研究所 所長

6

佐々木健一 海洋研究開発機構 むつ研究所 研究員

7

牛尾収輝 国立極地研究所 准教授

8

深町康 北大低温研

9

大島慶一郎 北大低温研

10

青木茂 北大低温研

研究目的 南北両極域は地球温暖化の影響が最も大きいと予測され、海氷減少や氷床流出など、既に変化の端緒が現れている。本研究課題には、南極海、北極海の観測を主導する4 つの研究機関が参画しており、本研究課題の枠組みを利用して、共同観測により取得したデータの解析や今後の共同観測研究の議論を進めることを目的とする。
  
研究内容・成果 今年度は、全ての研究グループが1度に集まることが出来なかったため、2度に分けて、共同研究の打ち合わせを実施した。まず、1月27日に海洋開発研究機構の北極グループの伊東と菊地氏(他の予算を使用して出張)が出向いて、北極海研究についての情報交換や共同研究計画の議論を行った。伊東、菊地氏の議論内容は以下の通り。
伊東:海洋研究開発機構では、太平洋から流入する暖水が北極海海盆域へ流出する主要経路である、バロー海底谷での係留系観測を1990年代後半から実施しており、係留系観測、船舶観測による観測データから、バロー海底谷の流量、熱、淡水フラックス、その変動原因を議論した解析結果を発表した。この解析から、海洋表層の熱量が増えていることや、熱フラックスと海氷量に関係があることなどが分かった。海洋研究開発機構で実施、計画中の係留点は、低温研が2009年から実施している係留点とも近く、今後の共同研究が期待される。
菊地:GRENE北極気候変動研究事業の中の「北極海環境変動研究:海氷減少と海洋生態系の変化」について紹介をした。この課題では、海氷減少に伴う様々な変化が既に表れ始めている太平洋側北極海に焦点を当てて、海氷減少から物理・化学環境の変化を経て低次生態系そして魚類・高次捕食者に至る「北極海の海洋生態系システム」としての動態の変化を調査することで、海氷減少が与える気候変動や水産資源への影響を解明し予測することを目指す。本課題では海氷観測は行わないため、北海道大学低温科学研究所が行っているバロー付近における海氷観測との連携をこれから考えて行くこととなった。

次に、3月8-9日に極地研の牛尾氏、東京海洋大の北出氏、海洋開発研究機構のむつ研究所の佐々木氏が出向いて、南極海研究についての情報交換や共同研究計画の議論を行った。この3氏との議論内容は以下の通り。
牛尾:来年度に低温研から2名が参加予定の第54次日本南極観測隊における観測計画および第55次隊以降の計画についての打ち合わせが行われた。
北出:低温研、極地研も協力して実施した南極海インド洋セクターのビンセンネスポリニヤ沖での係留観測について、2012年1月に海鷹丸で回収したばかりのデータの速報報告が行われた。また、来年度の海鷹丸の南極海航海の計画についても打ち合わせが行われた。
佐々木:海水中のフロン(海洋循環の解明に使われる代表的な化学トレーサー)濃度の計測に関して、船上に分析装置を持たない「しらせ」や海鷹丸で採水をし、日本に持ち帰って分析を行う手法の導入についての検討が行われた。また、2004-05年にオーストラリアの砕氷船で低温研も協力して実施したオーストラリア・南極海盆でのフロン観測のデータについての報告がなされ、南極海における海洋データセットを作成している低温研の嶋田氏との今後の共同研究の可能性についての議論も行われた。
  
成果となる論文・学会発表等 深町康・清水大輔・大島慶一郎・小野数也・田村岳史・青木茂・牛尾収輝・橋田元、南極海ケープダンレーポリニヤにおける海氷・海洋の係留観測、2011年度日本海洋学会秋季大会、春日、2011年9月29日

深町康・清水大輔・大島慶一郎・小野数也・田村岳史・青木茂・牛尾収輝・橋田元、南極海ケープダンレーポリニヤにおける海氷・海洋の係留観測、第34回極域気水圏シンポジウム、立川、2011年11月17日

平野大輔・北出裕二郎、南極大陸ケープダンレー沖陸棚端における海底境界混合の特徴、第34回極域気水圏シンポジウム、立川、2011年11月17日

Petrich, C., H. Eicken, J. Zhang, J. R. Krieger, Y. Fukamachi, and K. I. Ohshima (2012): Coastal landfast sea ice decay and break-up in northern Alaska: Key processes and seasonal prediction, Journal of Geophysical Research, 117, C02003, doi:10.1029/2011JC007339.