共同研究報告書提出

共同研究報告書

研究区分	萌芽研究
研究課題	氷の物理と化学研究の新展開
新規・継続の別	萌芽（2年目/全3年）
研究代表者／所属	北大院工学研究院
研究代表者／職名	准教授
研究代表者／氏名	内田努

研究分担者／氏名／所属／職名
	氏　　名	所　　属	職　　名
1	荒川雅彦	神戸大学院理学研究科	教授
2	津田栄	産総研	研究グループ長
3	灘浩樹	産総研	主任研究員
4	堀彰	北見工業大	准教授
5	小川直久	北海道工業大	教授
6	能田淳	酪農学園大	准教授
7	古川義純	北大低温研
8	佐崎元	北大低温研
9	渡部直樹	北大低温研
10	飯塚芳徳	北大低温研

研究目的	氷は地球や惑星系の寒冷環境における様々な自然現象と関連した極めて重要な物質であり、その物理・化学的特性の研究は、これらのしくみを理解するうえで大きな鍵となる。また氷は、寒冷圏における生物科学や大気化学等の分野でも重要性を増している。さらに氷表面・界面での物理・化学反応は、クラスレート・ハイドレートやオゾン破壊反応やエアロゾルなどの環境問題とも密接に関連している。このように氷に関する諸問題はそれぞれの専門分野で議論され、根底にある科学的な共通理解が不足しているのが現状である。本提案課題は、氷に関する研究を科学的・総合的な議論を行うことが可能な、研究者コミュニティを構築することを目指す。

研究内容・成果	2011年9月5～6日に「氷の物理と化学研究の新展開2011」と題して研究集会を開催した。当該研究集会には、国内の産官学研究機関より40余名が参加し、以下の7つのセッションで、27件の研究発表が行われた。 ①水のダイナミクス・菊地龍弥：中性子準弾性散乱法の新しい解析法により見い出された水の新たな拡散ダイナミクス・山室修：中性子散乱で観た多孔性高分子錯体中の水のダイナミクス・山室憲子：中性子準弾性散乱による生体保護物質グリシンベタイン水溶液中の水のダイナミクス・小林一道：Condensation coefficient of water in a weak condensation state ・原田慈久：水の電子状態とミクロ不均一性の予測 ②水・氷相転移・久賀みづき：分子動力学シミュレーションによる氷Ih表面の部分融解の研究・望月建爾：氷の融解過程に関する理論研究・佐崎元：水-氷界面の高分解光学観察・内田努：トレハロースの凍結保護作用と氷Ic相の形成 ③氷の高圧相・岡田卓：高圧下における氷VIIの高プロトン伝導状態・池田隆司：First Principles Molecular Dynamics Simulations for Water under High Temperatures and Pressures ・鈴木芳治：LiCl水溶液ガラスの溶媒状態と高密度アモルファス氷との関係・飯高敏晃：氷におけるプロトンダイナミクス ④H2Oの表面反応・岡田哲男：氷ではかる。氷をはかる・竹中規訓：氷とガス状有機化合物の相互作用の測定・濱野享史：凍結電位に基づく電気化学反応の可能性 ⑤クラスレートの物性・酒井宏紀：高圧力下におけるガスハイドレートの弾性的性質・室町実大：O3+O2+CO2ハイドレートについての相平衡測定・竹谷敏：クラスレートハイドレートの結晶構造解析、位相コントラストイメージング・橋本俊輔：水素系混合ガスハイドレートにおける水素の籠占有性 ⑥クラスレートの構造・吉田将司：プロパン-メタン，プロパン-窒素ハイドレートsII相の単結晶作製と構造安定性・平塚将起：第一原理分子動力学法によるクラスレート水和物の振動スペクトル解析・松本正和：クラスレートハイドレートの構造選択則・堀彰：ハイドレート準結晶の探索 ⑦クラスレートのダイナミクス・大野浩：氷点下におけるArおよびKrハイドレートの分解挙動・井上達也：メタンハイドレート中でのホスト分子由来のラジカル種が関与するラジカル反応機構・大島基：CO2ハイドレート内部で起こるラジカル反応・平林紳一郎：低温・低圧下でのガスハイドレート生成ー超音波霧化法による生成速度の向上の検討　そして、本研究課題に関連する水・氷・クラスレート水和物の研究に携わる研究者を中心に、異分野間の情報交流の場である本研究集会開催を継続的に開催していく組織づくりを行って行くことを検討した。

成果となる論文・学会発表等