共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
小惑星上の水の酸素と水素同位体の直接分析 |
新規・継続の別 | 新規 |
研究代表者/所属 | 北大理学研究院 |
研究代表者/職名 | 教授 |
研究代表者/氏名 | 圦本尚義 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
香内晃 | 北大低温研 |
研究目的 | 本研究の目的は小惑星上を循環していた水の酸素と水素の同位体比の直接分析である. |
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研究内容・成果 | 最近,いくつかのコンドライトに岩塩脈が発見され,その脈中に数〜数十ミクロンの大きさの流体包有物が発見された.この流体包有物中の水は,太陽系形成期に誕生したばかりの小天体中を循環していた水が生き残ったものであると考えられる.現在まで,小惑星上の水の同位体の直接分析の例はない.したがって,この水の同位体組成を決定することにより太陽系の水の起源や地球の水の起源の議論に新しい切り口があたえられ,これまでの太陽系の水の物質進化について飛躍的な進展が期待できる.実験計画は,以下の2段階である.(1)流体包有物を含む岩塩を低温研の低温実験室内で凍らせ,氷を表面に露出させる.(2)(1)のサンプルを凍らせたまま速やかに創成科学研究棟内に設置しているSIMSに持込み,氷の水素と酸素の同位体分析を行う.氷を分析するためのSIMS用冷却ステージは開発済みである.分析の精度は,予備分析により5パーミル以下と見積もっている.彗星の水の水素同位体組成は約+1000パーミルと考えられており,この分析精度は十分であると考えている.酸素同位体比については,従来の研究では決定されていないので,分析精度について十分かどうか確定的なことは言えないが,隕石中の酸素同位体比の変動幅,約50パーミル,に比べると十分な分析精度であると言える. 本プロジェクトでは,流体包有物を含む岩塩を低温研の低温実験室内で凍らせ,氷を表面に露出させる方法を開発予定であったが,研究代表者の時間的制約のため、実際の実験が進んでいない. 成果としては,岩塩中の流体包有物を凍結することに成功し,岩塩をイオンスパッタすることにより岩塩内部の流体包有物を表面に露出することに成功した. |
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成果となる論文・学会発表等 |