共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
融雪期における斜面と平地の積雪特性の比較研究 |
新規・継続の別 | 新規 |
研究代表者/所属 | 新潟大学災害復興科学センター |
研究代表者/職名 | 准教授 |
研究代表者/氏名 | 河島克久 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
和泉薫 | 新潟大学災害復興科学センター | 教授 |
2 |
伊豫部勉 | 新潟大学災害復興科学センター | 特任助教 |
3 |
松元高峰 | パタゴニア生態系研究所 | 研究員 |
4 |
荒川逸人 | 野外科学株式会社 | 課長 |
5 |
石井吉之 | 北大低温研 | |
6 |
兒玉裕二 | 北大低温研 |
研究目的 | これまで温暖多雪地域の新潟県において、融雪期に平地と斜面において同時に積雪断面観測を数年間行ってきた。その結果、融雪期における平地と斜面の積雪性状の比較から、斜面積雪は平地積雪に比べて「層構造が単純」、「ざらめ化の進行が早い」、「密度・硬度が小さい」という特徴があることが明らかになった。本研究では、同様な観測を寒冷積雪地域である北海道において実施し、平地と斜面の積雪特性の相違を明らかにすることを目的とする。 |
研究内容・成果 | ○観測場所 積雪断面観測は小樽市張碓で行った。観測点は日本海に直面した場所であり、冬型気圧配置時には強い北西風が吹きつける。平地の観測点は標高約38mの平坦地であり,斜面の観測点は標高約36mの北北東向き斜面(傾斜39°、延長約50mの斜面の比較的上部)である。両観測点の距離は約100mである。 ○観測日 2011年1月28日及び2月23日 ○観測項目 観測項目は層構造,雪質,雪温,密度,硬度(プッシュゲージによる測定)である。含水率の測定も行う予定であったが、両観測日ともに全層乾雪であったため実施していない。 ○観測結果 平地と斜面の積雪性状の比較から、寒冷な北海道(本観測場所)では、斜面積雪は平地積雪に比べて「積雪量(深さ・水量)が極端に少ない」、「全層にわたって温度勾配変態の影響を強く受ける」、「密度・硬度が極めて小さい」という特徴があることが明らかになった。これらの特徴は、低温下での強風等による積雪の移動(再配分)の影響を斜面積雪が強く受けるために出現したものであると考えら、弱風下におかれ、積雪の再配分が雪崩を除くとあまり起こらない新潟県の豪雪地域とは大きく異なっている。以下に、積雪水量、雪質、密度、硬度について主な結果を述べる。 (1)積雪水量 平地と斜面の積雪水量を比較すると、両観測日ともに斜面は平地の40%程度しかないことが分かった。これは、斜面積雪では急傾斜と強風によって積雪の移動(再配分)が卓越していることを意味する。 (2)雪質 平地では積雪深が1m程度に達しており、その結果、等温変態によるしまり雪層が卓越している。部分的にこしもざらめ雪も認められるが、その割合は小さい。一方、斜面では、積雪深が40cm程度しかないため、ほぼ全層で温度勾配変態が進んでおり、こしもざらめ雪層が卓越している。 (3)密度 しまり雪層が卓越した平地では両観測日ともに積雪全層平均密度は約290kg/m3程度であったのに対し、温度勾配変態の影響を強く受けている斜面では200 kg/m3程度に留まっていた。また、密度プロファイルは、平地積雪では下部ほど密度が上昇するタイプであったが、斜面積雪では全層にわたってほぼ均一であった。 (4)硬度 硬度にも平地と斜面とで大きな違いがみられ、平地では10〜200kPa程度、斜面では10〜20kPa程度であった。 |
成果となる論文・学会発表等 |