共同研究報告書提出

共同研究報告書

研究区分	一般研究
研究課題	南極域の海氷・氷床上での海塩組成分別過程
新規・継続の別	継続（平成21年度から）
研究代表者／所属	福岡大学理学部
研究代表者／職名	助教
研究代表者／氏名	原圭一郎

研究分担者／氏名／所属／職名
	氏　　名	所　　属	職　　名
1	飯塚芳徳	北大低温研

研究目的	本課題は南極沿岸から内陸域の大気中に存在する海塩粒子の分布とその組成分別過程と海塩成分から見た大気⇔積雪・海氷表面間の物質交換を明らかにすることを目的とする。これまでに昭和基地や南極沿岸～内陸部で行われたエアロゾル・アイスコア・積雪の観測と分析の結果の相互比較を行い、海塩成分及びその関連物質から見た物質循環過程の理解を深化させるだけではなく、室内実験・モデル計算による検証も検討する。

研究内容・成果	南極大気中に存在する海塩粒子の分布と海塩組成分別過程を明らかにするため、南極地域観測隊の活動で捕集された大気中のエアロゾル試料の分析・解析結果（原が担当）と大陸上積雪・コア中の化学成分分析結果（飯塚が担当）の比較・検証を中心に行う。現在分析・解析中のデータに加え、過去に得られた観測データを再解析し、大気中に存在するエアロゾル粒子（主に海塩粒子に注目）と、表面積雪・コア中の各化学成分の分析を進めた。個別に得られてきつつある観測・分析データを比較・議論し、今後の実験計画について議論した。　また、2010年12月13日に、北海道大学低温科学研究所において、原（福岡大）、飯塚（北大低温研）、藤吉（北大低温研）、豊田（北大低温研）、的場（北大低温研）、関（北大低温研）により、極域の大気化学・海氷・積雪中の化学成分について意見交換・議論を行った。また、新たな分析機器による水蒸気安定同位体連続観測の可能性の提案もあった。　研究会により、①南極大気中の海塩粒子の季節変化・空間分布と組成分別過程、②南極内陸域積雪内での海塩組成の変質・組成分別、③海塩粒子発生源となる海氷上のソルトフラワーの分布について、意見交換・討論がなされた。組成分別をした海塩粒子の季節変化や、組成分別海塩粒子による雲形成能力への影響も示唆された。本研究会での議論から、現状で得られている知見及び解析方針の整理が行えただけではなく、今後の研究課題の検討も行うことができた。本研究課題は、大気エアロゾルの化学成分の変化・分布と雪氷の化学成分の動態を比較することで、考察・議論を進めるため、試料分析・解析だけではなく、室内実験や新たな観測計画の検討も踏まえて、今後も情報・意見交換を続けることとなった。

成果となる論文・学会発表等