共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

バイオディーゼルにおける結晶化挙動の観察
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 広島大学
研究代表者/職名 准教授
研究代表者/氏名 上野 聡

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

佐藤清隆 広島大大学院生物圏科学 教授

2

池田絵梨子 広島大大学院生物圏科学 博士課程前期2年

3

嶋村圭輔 広島大大学院生物圏科学 博士課程前期2年

4

三島尚子 広島大大学院生物圏科学 博士課程前期2年

5

古川義純 北大低温研

6

佐崎元 北大低温研

研究目的 近年、地球温暖化の影響により、バイオディーゼル燃料(BDF)が軽油代替燃料として注目されている。BDFは動植物油を原料として生産されるが、油脂は粘度が高いなどの特徴を有しており、そのままディーゼル自動車用の燃料として使用すると、燃料ポンプに析出物が付着してエンジンに不具合が発生することが懸念される。その中でも、飽和脂肪酸メチルエステルを多く含むPalm BDF(パーム油由来)は、低温保管時に曇り、結晶化するなどの問題点がある。本研究では、北欧などの寒冷地を想定し、0℃以下の環境下におけるPalm BDFの結晶化、及び添加剤による結晶化への効果を検討した。
  
研究内容・成果  Palm BDF : 軽油=5 : 95もしくは10 : 90の割合で混合したものをコントロールして用いた。添加剤はB、E、F、Gの4種類を使用し、添加剤濃度は0.5%、1.0%に設定した。それらを-5℃の低温庫で0.1℃/minで徐冷し、徐冷直後、1時間後、16時間後の状態を目視観察し、結晶化への添加剤の効果について検討した。また、添加剤無し、B、E、Fについては顕微鏡観察も行った。
 10 : 90 の方が差が顕著にあらわれたため、10 : 90の結果を示す。16時間後では0.5%、1.0%のいずれもF以外がゲル化しており、Fのみが流動性を保っていた。また、16時間後の顕微鏡観察では、添加剤無しは比較的大きいサイズの針状結晶が多数観察され、BとEは微細な結晶が凝集してできた大きな結晶が観察された。一方、唯一流動性を保っていたFでは添加剤無しよりも小さなサイズの針状結晶が観察された。以上のことから、添加剤FによるPalm BDFの結晶化の遅延が認められた。
  
成果となる論文・学会発表等 加藤裕之、伊藤直人、浜田寛之、高瀬嘉彦、南部宏暢、佐藤清隆、三島尚子、榊 大武、バイオディ―ゼル燃料の結晶化挙動(日本油化学会第48回年会、平成21年9月12日、名古屋工業大学)