共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

プラスミン処理したフィブリノゲンを用いたクリオゲル形成に関する研究
新規・継続の別 継続(平成20年度から)
研究代表者/所属 群馬大学大学院工学研究科
研究代表者/職名 准教授
研究代表者/氏名 外山吉治

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

糸井璃沙 群馬大学大学院 博士課程前期

2

中村真彦 群馬大学大学院 博士課程前期

3

落合正則 北大低温研

研究目的 フィブリノゲン水溶液を低温下に曝すと白濁し、クリオゲルを形成する。クライオゲルは酵素トロンビンによるFPA,FPBの切断を介さずに、均一なゲルネットワークを作ることをこれまでに確認した。本研究ではプラスミンでフィブリノゲンを特異的に切断したフィブリノゲン分解産物(FDP)を分離精製し、クライオゲル形成への影響を調べた。試料はFDPの中から、フィブリノゲンのAα鎖C末端部分のαC鎖を切断したフラグメントX,フィブリノゲンの末端Dドメイン部分を含むフラグメントDを用いて、濁度測定より形成される線維の形状を評価した。
図1 図2 
研究内容・成果
【実験】
ウシフィブリノゲンをプラスミンで切断してフラグメントX及びDを調製し、ゲル濾過クロマトグラフィーで分離精製後、限外濾過法により目的濃度まで濃縮した。それぞれの試料を2℃まで冷却し、波長400から800nmの波長で濁度測定を行った。

【結果】
図1に示す様に、フラグメントXのみのサンプルではクライオゲルは形成しなかった。未処理のフィブリノゲンとフラグメントXを1:1の濃度で混合させると、わずかに白濁を確認することが出来た。従って、、クライオゲル形成には、αC鎖が必須であることが分かった。図2に示す様に、フラグメントDをフィブリノゲンに添加すると、未処理フィブリノゲンに比べクライオゲル形成開始時間が遅れ、濁度の飽和値も小さくなった。また、単位長さあたりの質量と線維半径は大きく、線維密度が小さな、太く疎な線維が形成された。このことから、クライオゲル形成には、Dドメイン同士のD-D相互作用が関与することも示唆された。

図1 図2 
成果となる論文・学会発表等 論文
K. Kubota, Y. Masuda, Y. Toyama, N. Nameki, N. Okumura and M. Ochiai, “Gel Formation of Recombinant Fibrinogen Lacking C Termini”, Progr. Colloid, Polym. Sci, 2009, 136, 187-194.

学会発表
糸井璃沙、高橋唯、外山吉治、行木信一、窪田健二、落合正則 “フィブリノゲンクライオゲル形成におけるフラグメントX及びD添加の影響”第32回日本バイオレオロジー学会年会 桐生 
2009年6月.

中村 真彦 ,市村 初恵,外山 吉治,窪田 健二,吉越 昭夫“QCMを用いた赤血球表面とコンカナバリンA及びフィブリノゲンとの相互作用の直接測定”第32回日本バイオレオロジー学会年会 桐生 2009年6月.
外山 吉治,大井 裕香,谷田貝 祥美,窪田 健二,落合 正則“フィブリノゲンクライオゲル形成に与える付加糖鎖の影響”第32回日本バイオレオロジー学会年会 桐生 2009年6月.

Y. Iwai, Y. Yatagai, N. Okada, Y. Toyama, N. Nameki and K. Kubota “Impaired Fibrin Polymerization by Binding of GHRP that Mimics Fibrinogen B-knob” 第19回日本MRS学術シンポジウム 横浜 2009年12月