共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
タマネギバエ成虫の日齢にともなう温度耐性と生体膜リン脂質の変化 |
新規・継続の別 | 新規 |
研究代表者/所属 | 宮城学院女子大学学芸 |
研究代表者/職名 | 教授 |
研究代表者/氏名 | 田中一裕 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
渡康彦 | 芦屋大学臨床教育 | 教授 |
2 |
木村勇司 | 青森県農林総合研究センター病害虫防除室 | 主任研究員 |
3 |
片桐 千仭 | 北大低温研 |
研究目的 | タマネギバエの成虫の温度耐性(高温耐性)は羽化後の日齢に伴って変化することがわかっている。興味深いのは、その変化パターンが雌雄で異なることである。両者の寿命に違いはないが、雄は雌に比べてはやく温度耐性が低下し、そのレベルも低いまま経過する。本研究の目的は、この高温耐性の日齢に伴う変化およびその性差に関るメカニズムを検討することである。タマネギバエのCTMAX(高温で歩けなくなる温度)の変動幅はおおよそ細胞膜を構成するリン脂質の融点の相転移温度に近いことから、日齢に伴う高温耐性の変化に生体膜脂質の変化が関わっている可能生がある。まずは、日齢に伴う生体膜リン脂質の脂肪酸組成の変化を明らかにしたい。 |
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研究内容・成果 | 方法 羽化成虫を16時間照明(16L8D):24℃で、砂糖と水のみを与えて飼育した。羽化後0日目、5日目、10日目、20日目に、雌雄それぞれ2個体をランダムに採取し、リン脂質の抽出を行った。ハエ類のリン脂質にはホスファチジルエタノールアミンやホスファチジルコリンなどがあるが、今回は両者を分離することなく全リン脂質としてその脂肪酸組成の分析を行った。脂肪酸組成の分析にはガスクロマトグラフィーを用いた。 結果および考察 成虫から抽出したリン脂質の脂肪酸組成を羽化後の日齢や性との関連で比較した。雌雄ともに、日齢にともなって生体膜のリン脂質の飽和度が高まる傾向がみられた。ただし、同じ日齢で比較するかぎり雌雄で脂肪酸組成に違いはみられなかった。このことは、日齢にともなう脂肪酸組成の変化パターンに性差はないことを示している。また、リン脂質の脂肪酸におけるC16とC18の比率は、雄雌ともに日齢に関係なく一定であった。 以上の結果から、タマネギバエの成虫の日齢にともなう高温耐性の低下、特にその変化パターンの性差に生体膜のリン脂質の脂肪酸組成の変化は関わっていないことが明らかになった。羽化後5日目をすぎると、雄成虫の高温耐性(CTMax)は雌成虫よりも有意に低下する。もしも、生体膜のリン脂質がこの現象に関わっているなら、この日齢において脂肪酸組成に性差がみられなければならない。しかし、羽化後5日目以降のハエにおいて、同じ日齢で比較するかぎり、脂肪酸組成に有意な性差はみられなかった。タマネギバエ成虫の日齢にともなう高温耐性の低下にみられた性差は、生体膜のリン脂質以外の要素が関わっているようだ。 |
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成果となる論文・学会発表等 |