共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
生存環境に依存した昆虫の体色多形性発現の基礎機構の解明 |
新規・継続の別 | 新規 |
研究代表者/所属 | 信州大学繊維学部 |
研究代表者/職名 | 准教授 |
研究代表者/氏名 | 白井孝治 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
小林智史 | 信州大学大学院工学系研究科 | 大学院生 |
2 |
赤崎徹志 | 信州大学大学院工学系研究科 | 大学院生 |
3 |
片桐 千仞 | 北大低温研 | |
4 |
落合正則 | 北大低温研 |
研究目的 | エビガラスズメの緑色体色は真皮細胞中に2種の色素結合タンパク質が蓄積する事による。しかしながら、これらのタンパク質は分泌タンパク質であるため、通常は合成された後直ちに血液中に放出される。そのため、真皮細胞内での蓄積には特別な分泌機構である調節性分泌機構が関与すると思われる。調節性分泌機構は多細胞生物が統合的な機能を発揮するため重要な機構であるが、その詳細には不明な点が多い。調整性分泌機構は、生活習慣病、神経疾患などの原因ともなるため早期の全容解明が望まれている。本研究はエビガラスズメ真皮細胞における色素結合タンパク質の蓄積機構を解明する事を目標としている。 |
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研究内容・成果 | 今年度は2種の色素結合タンパク質が真皮細胞中のゴルジ体で選別され通常の分泌経路から外れるための機構を追究した。 まずエビガラスズメ真皮細胞から色素結合タンパク質を含む顆粒の精製を試みた。その結果、2度のショ糖密度勾配超遠心を中心に純度の高い顆粒を得ることができた。顆粒を可溶および不溶画分に分離し、それぞれに含まれる成分を分析したところ、可溶画分にはほとんど高分子のタンパク質は見いだせなかったが、不溶画分には多くの色素結合タンパク質を検出した。また本来、可溶タンパク質であるeCBPも不溶画分から検出された。これは顆粒膜の成分にeCBPと強い相互作用を持つタンパク質があることを示唆する。さらに顆粒の脂質組成を調査したところ、ホスファチジルエタノールアミンやホスファチジルコリンが極めて多く、通常の膜成分とは大きく異なる特徴的な組成である可能性が示された。これらは色素結合タンパク質のトランスゴルジ網における選別に大きな役割を果たすと考えられる。 次に内容物を分析する中である条件下で色素結合タンパク質の一つインセクトシアニンを凝集・沈澱させる極めて興味深い性質の成分を発見した。未だその成分の詳細は不明であるが、比較的低分子( >5000 Da)であることが明らかになっている。今後、本成分を単離し、色素結合タンパク質選別の機構との関連性を明らかにする予定である。 |
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成果となる論文・学会発表等 |
エビガラスズメ緑色幼虫の体色発現機構:色素顆粒中のINS凝集成分Xについて 白井孝治・福島壽斗(信大繊維)・片桐千仞(北大低温研)・深本花菜・木口憲爾(信大繊維)日本蚕糸学会第80回大会 平成22年4月3 – 4日 信州大学 |