共同研究報告書
研究区分 | 一般研究 |
研究課題 |
氷床掘削孔の検層及び氷床探査ゾンデに関する研究 |
新規・継続の別 | 新規 |
研究代表者/所属 | 情報・システム研究機構 国立極地研究所 |
研究代表者/職名 | 教授 |
研究代表者/氏名 | 本山秀明 |
研究分担者/氏名/所属/職名 | |||
氏 名
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所 属
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職 名
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1 |
古崎睦 | 旭川工業高等専門学校 | 教授 |
2 |
高橋弘 | 東北大学大学院環境科学研究科 | 教授 |
3 |
須藤祐子 | 東北大学大学院環境科学研究科 | 助教 |
4 |
田中洋一 | (株)ジオシステムズ | 取締役 |
5 |
高橋昭好 | (株)地球工学研究所 | 代表取締役 |
6 |
宮原盛厚 | (株)地球工学研究所 | 研究員 |
7 |
的場澄人 | 北大低温研 | |
8 |
新堀邦夫 | 北大低温研 |
研究目的 | 氷河や氷床の掘削孔の検層により、氷河・氷床の氷温分布や深さ方向の流動分布などがわかる。この検層システムに最新の技術を組み込むことで、精度よく安定した測定方法を検討する。また掘削孔を必要としない、自立型の氷床探査ゾンデの実用化への検討を行う。 |
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研究内容・成果 | (1) 現有機の問題点と改良について 現有機を分解検査したところいくつかの問題点が見つかった。 現有機の問題点を踏まえ、52次南極観測隊で実施する検層に使用する検層機について以下の確認と検討した。氷期の気温の復元をするためには、掘削孔温度は0.01度の精度で測定する必要があり、白金抵抗センサーのために3線必要である。また、現有機では検層機上げ下ろしで発生する摩擦熱のため測定に2時間かかっており、接触部分のパンタグラフの小型化または上げ下ろし時に非接触にする仕組みで短時間の測定が可能か検討する必要がある。傾斜計および方位センサーを正常に動かすためには、100Hz程度の通信の仕組みが必要であるが現状のケーブルと通信システムでは難しいと考えられてきたが、回路の見直したところ、改良できる可能性が見つかった。 (2) 次世代型氷床探査ゾンデの検討 自立型ゾンデが掘り進んでいくために必要な熱量を推定するために、模型によるテストをおこなった。条件は、自重を推進力にし、底面ヒーターには、Mica heater (熱量10W/m2)、側面にはラバーヒーターを取り付けた。素材は、軟鉄と純銅の2種類を試し、底面形状は平型と円錐型(鋭角、鈍角)の3種類を試作した。氷の温度は-20度にし、底面ヒーターの制御温度を変化させ、融解実験を行った。その結果、底面形状が平型では、融解水の再凍結を防ぐため、側面ヒーターの温度が30度程度必要であること、円錐型は、側面温度が10度以下でも推進することが分かった。また、推進速度は、底面形態が円錐(鋭角)、平ら、円錐(鈍角)の順に早くなることがわかった。また、推進速度は側面ヒーターの温度には依存したいことがわかった。ただし、これらの実験では、制御ヒーター温度を一定としているため、消費電力は一定ではない。実用化に向けては、底面形状による、消費電力あたりの推進速度の変化を調べてみる必要がある。 実用化に向けて、必要な熱量の計算を行った。底面は1次元熱伝導方程式を用い、エンタルピーの時間変化を計算した。潜熱も考慮に入れている。検層機は1セルが全て溶ける熱量を受けたら次のセルに進むとした。側面側、ケーブル側面も理論的な定常状態とした。その結果、実験結果と計算結果の差は50-65%程度あった。その差は熱損失だと考えられる。実際の南極ドームふじで3000mを検層すると仮定するとケーブルの凍結を防止するだけで200kW必要であると見積もられ、実用化には熱で融解させる以外の方法でケーブルの凍結を防止する仕組みを考える必要があることがわかった。 |
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成果となる論文・学会発表等 |