共同研究報告書


研究区分 一般研究

研究課題

昆虫の寒冷地適応とリポホリンが輸送する脂質
新規・継続の別 新規
研究代表者/所属 北大低温研
研究代表者/職名 助教
研究代表者/氏名 片桐千仭

研究分担者/氏名/所属/職名
 
氏  名
所  属
職  名

1

土田耕三 国立感染症研究所 室長

2

森林敦子 国立感染症研究所 客員研究員

研究目的  脂質はエネルギー源や細胞膜の構成員として生物が生きて行くために不可欠の物質群である。しかし水に不溶のためその貯蔵や合成器官・組織からそれを必要とする器官・組織に血液を介して輸送するにはリポホリンというリポタンパク質によらなければならない。また、脂質は氷温付近で固化することがある。変温動物である昆虫にとって脂質の固化を避けなければならない。なぜなら、固体になった中性脂質には酵素が働き難く利用できないし、膜脂質が固化しては膜の機能が失われ、ひいては膜そのものが壊れる危険もある。リポホリンが輸送する脂質の組成と物性から昆虫の寒冷地に適応能を探るのが本共同研究の目的である。
  
研究内容・成果 本研究に用いた昆虫はカイコとニクバエである。
カイコの繭の色は白以外にも黄色など多様である。この黄色はカロチノイド由来であり、品種改良の過程でカロチノイドを繭に運ぶ機能が失われたことを明らかにした。カイコは卵で休眠し、寒さを避ける。卵にもリポホリンはあるが、その脂質を調べるには多量の卵を必要とするので、まだ進展はない。
ニクバエについてはリン脂質分子種のレヴェルの仕事に着手した。これまでは脂肪酸組成からリン脂質分子の1位と2位のアシル鎖にどのような脂肪酸が入るかを推定するに過ぎなかったが、分子種分析をが可能になったので、これまでのデータの見直しとあらたな展開を期待している。
  
成果となる論文・学会発表等